【H26.12定例会】③ 人口減少社会における都市内分権と地域予算制度について
▼ 質問(和田直也)
→柳津町との合併に伴い策定された新市建設計画が、もうすぐ10年を迎えようとしています。この間、都市内分権が謳われて各事業が進められています。その具体的な地域の受け皿が「まちづくり協議会」であることは共有していると思いますが、その単位は小学校区であることから、同じ小学校区単位で構成される自治会連合会と地域も人も重複し分かりづらい等、結果、計画から8年が経過してもその設置数は全部で21校区に留まっており、未だ市内全域での意識共有には至っていないと思います。私は、制度設計については、むしろ今後の人口減少社会も見据えながら、今一度再考する時期にきているのではないかと思います。このテーマは、先ほど小堀議員も財政の観点から質問されていますので、私は都市内分権という制度の観点から質問させて頂きます。
先ほども言いましたように、いま日本社会は人口減少へと転じて、これから約半世紀にわたり、急降下する時代に突入します。この人口減少社会の都市経営の難しさは、人口は減るけれども都市の規模は小さくならない「低密度化」もその一つにあります。いまと同じコミュニティを維持するためには、その範囲を広域化する必要もあるのではないか、またコミュニティの最小単位である小学校が統合する場合には、校区再編にも着手すべきてはないか等、今まで以上にスピード感のある地域マネジメントの重要性が増しています。
そういう意味では、これからの住民自治を体現する「まちづくり協議会」は、むしろ少しエリアを広げて中学校単位、或いはコミュニティセンター単位で行い、財源・権限を伴う大胆な都市内分権に着手する必要があるのではないかと思います。お隣の三重県では名張市において、また長野県では長野市において、それぞれ「ゆめづくり地域予算制度」や「地域いきいき運営交付金」が交付される等、いわゆる補助率や事業の限定のない使途自由な交付金が「まちづくり協議会」に配分され、市職員がその事務局に派遣されるなどの人的支援も実施、まさに地域のことは地域で解決する、本来の補完性の原理の具体的な姿を実践されています。
1つ目の質問にも関連しますが、これも人への投資であり「多様な選択肢のある地域づくり」に繋がるのではないかと考えます。こうした点について、市長はどう考えているかお尋ねします。
▼ 答弁(市長)
→地域予算制度、現在の地域協議会、まちづくり協議会においても一定の規模で私ども出しておりますが、それについてのお話をちょっとさせていただきたいと思います。
岐阜市では平成15年に策定をいたしました総合計画の中で都市内分権をうたっています。都市内分権は地域の住民の皆さんがその地域の課題というものを自分たちの考え、あるいは自分たちの責任のもとで解決をし、まちづくりを進めていくことが重要でありまして、地域の皆さんの意識が高まって、それでその受け皿として十分体制が整ったと判断された時点で、使途を制限しない自由度の高い財源を付与し、側面支援をしていく仕組みをつくっていくということが都市内分権の進化につながると、こういうふうに思っています。あくまでも、まず、地域の人たちが自分の頭で考え、自分の責任のもとでいろんな問題を解決する、そういう能力、体制が整った時点で使途を限定しない自由度の高い財源を付与していくということが大切だと、こういうふうに思っています。
現在この都市内分権につきましては企画部が中心となりまして、庁内組織であります都市内分権推進会議で集中的に議論をしておりまして、一定の期間を経てこの都市内分権の姿についてもまた公表していくことになろうかと、こういうふうに思っています。
一方で、地域住民の皆さんが地域に密着した課題に自主的に取り組んでいくためには、日々の暮らしの中で人々が頻繁に顔を合わせ、お互いに助け合い、また、地域への帰属意識がある程度明確である現在の自治会連合会単位、これを地域の基礎的な単位とする住民組織を設けることはふさわしいと、こういうふうに思っています。こうした考えに基づきまして、住民自治基本条例に位置づけ、自治会や地域の各種団体で構成するまちづくり協議会、これを市内50地区の設置に向けて現在取り組んでいるところです。御存じのとおり、平成16年から取り組んでおりますから、約10年たってるわけでありますが、この10年たちましても、この50地区のうち、この地域、まちづくり協議会ができたのは21地区の設置にとどまっておりまして、これはそれぞれの地域ごとにさまざまな事情があるということが推察されるわけであります。
今後の高齢化の進展あるいは人口減少社会を考えますと、地域の担い手不足の懸念もありますから、将来的には複数のまちづくり協議会、議員御指摘のように、複数のまちづくり協議会や自治会連合会などが連携をして、連合体となって地域の課題に取り組んでいけるような仕組みなども研究する必要があることは申し上げるまでもありません。そんなことも含めて、先ほど申し上げた庁内組織である都市内分権推進会議の中で今議論を進めてるところであります。こうした研究も踏まえながら、岐阜市全体として住民自治の活性化が最も図れる仕組みが構築できるよう市民の皆様の声も聞きながら、住民満足度が高まって多様な地域が個性豊かに輝くような都市内分権について企画部を中心にさらに検討を進めていこうと、こういうふうに考えているところであります。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中
→平成27年3月「岐阜市都市内分権推進構想」を策定
・全50地区へのまちづくり協議会設置促進
・自立型のまちづくり協議会(一定の自主財源が付与され、住民自身がまちづくりの主体として責任を担いながら、財源を執行していくことができるような自立した組織)を目指す
・50地区にまちづくり協議会ができた段階で、いくつかのまちづくり協議会が合わさった一定の区域の設定を検討する
・市民活動交流センターの設置(既存のまちづくり協議会に対する支援を実施)
・中間支援組織の設置(地域課題の解決にあたって行政と協働する場合に双方の中間に位置し、円滑な協議の遂行を図っていく組織の検討)
→平成28年度「中間支援組織:岐阜市まちづくりサポートセンター」を設立予定(市民活動交流センターと連携を図りながら、地域のコミュニティを対象に、両者との中間的な立場において、自立型のまちづくり協議会の設立など、地域のまちづくりを積極的に支援していきます。
(企画部・市民参画部回答)