【H26.09定例会】⑤ 伝承館としての長良川うかいミュージアムについて
▼ 質問(和田直也)
→昨年度の長良川うかいミュージアムの来場者は12万7,950人と。うち有料展示室の来館者というのは4万7,944人とのことで、2012年の開館以来、当初見込みを大きく下回る結果となっております。このことについては当初見込みが甘かったのか、物理的あるいは地理的要因なのか、いろいろ評価はあろうかと思いますが、数字という点では評価できる結果とは思えません。しかし、そもそも1300年の歴史を誇る長良川鵜飼は、岐阜市が守り継いでいく使命のある大切な文化であり、これを後世に伝承していくという本来の設置目的に立ち返ったとき、数字だけで赤だ黒だと評価され、赤なら無駄という声になりかねないということも同時に危惧をしております。長良川鵜飼は岐阜市の重要な観光資源であることは言うまでもありませんが、宮内庁式部職の鵜匠の位置づけからしましても、第一義には文化継承・伝承のためのミュージアムではなかったかというふうに振り返るわけです。
私はむしろ今後はこれまで以上に市歴史博物館とのかかわりを強化してはどうかと考えます。市歴史博物館でも毎年数々の特別展が企画されておりますが、年間入場者の数で博物館の存否を評価する声を聞くことはほとんどありません。それは本来の設置目的が芸術文化振興であることや、所管も教育委員会であるという点も否めないと思います。
対して、現在の長良川うかいミュージアムというのは常設展がメーンのつくりとなっておりますし、一度訪れた方が「また、行こう。」というふうにはなかなかならない性格というのもよく理解できますし、所管も商工観光部であるということから、とかく数字で評価されやすい性格となっております。
今後は特に子どもたちを初め、地元市民の皆様には地元学とか郷土が誇る歴史、文化を後世に伝承していくミュージアムとしての位置づけを、初めて岐阜市を訪れる方に対しては長良川鵜飼の屋形船に乗船する前に訪れるスポットとしての位置づけをより強化するとともに、小さな子どもたちを初め、家族連れのニーズにも応える施設へと最近改装され、保育士の資格を持った店長さんが常駐するようになりましたカフェやあずまや、広場、さらには、近くアユの塩焼きのギネスブック登録を目指すイベントも展開されると聞いております長良川プロムナードなどと十分に連携した有効利用というのを求めたいと思います。
同時に、何より鵜飼博士とも言うべく、マンパワーの拠点化、具体的には、2階の会議室を活用したユネスコ世界無形文化遺産登録を目指す事務の拠点化にも期待をしたいと思います。
いずれにしましても、指定管理も間もなく折り返しということになる中で、岐阜市の使命として投資、設置された長良川鵜飼ミュージアムの本来の文化継承といった設置目的に立ち返り、今後の有効活用というのを大いに検討してほしいと願いますが、浅井副市長のお考えをお尋ねします。
▼ 答弁(副市長)
→当施設は長良川鵜飼を守り、伝え、広める活動を通じて人々が集い、交流する場の形成を目的とし、平成24年8月に開館をいたしました。開館以来、より多くの方の来場促進を目的として、長良川鵜飼の休止日となる中秋の名月に合わせて、景観と月をめでる月見茶会や、子ども向けに鵜飼を題材とした工作、塗り絵などのさまざまなイベントや体験教室を開催し、市民や観光客の皆様に楽しんでいただける運営を心がけております。
また、鵜飼観覧船との相互割引の実施や、本年10月から試験的に実施する岐阜市内施設共通入場券事業など、当施設の利用促進とともに、観光振興を狙った施策にも取り組んでおります。こうした一方で、鵜飼文化の伝承を目的といたしましては、鵜匠が解説を交えながら行う鵜飼の実演や、長良川鵜飼文化に関連した多彩なテーマを取り上げる長良川うかいミュージアム市民講座、鵜飼に関する特別展などの事業を開催しております。これらの事業につきましては、商工観光部が教育委員会と連携して実施しており、歴史博物館の学芸員が鵜飼に関する特別展の展示構成や展示物の監修を行うとともに、長良川うかいミュージアム市民講座の講師を担っております。
さらに、今年度は新たに歴史博物館と歴史博物館の分館である加藤栄三・東一記念美術館、長良川うかいミュージアムの3館が連携し、同時期に鵜飼に関連するテーマで特別展を開催いたしました。
また、ユネスコ無形文化遺産代表リスト記載に向けた取り組みの1つとして、平成25年度から教育委員会、商工観光部が中心となって組織する長良川鵜飼文化の魅力発信事業実行委員会が、鵜飼文化の知識を熟知し、聞き手を引き込むような話ができる鵜飼の語り部を育成するためのセミナーを鵜飼文化を発信する拠点である当施設で開催しております。
長良川鵜飼伝承館は鵜飼文化の伝承と観光の振興に寄与するという設置目的を達成するため、今後も教育委員会と商工観光部が十分に連携し、鵜飼文化の魅力向上と鵜飼文化の観光資源としての活用を図り、さらなる誘客に努めてまいります。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中
→平成27年3月に「長良川の鵜飼漁の技術」の国重要無形民俗文化財指定記念講座を教育委員会と連携して開催しました。
平成27年度ふるさと大好き鵜飼事業による来館計7校
ユネスコ無形文化遺産代表リスト記載に必要とされる「市民意識の醸成」の一翼を担う施設として、教育委員会と連携して積極的に事業を推進しています。(商工観光部回答)