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▼ 質問(和田直也)

→昨年からことしにかけて日本の総人口は28万人減少したと、総務省がことし4月に公表した人口推計で明らかとなりました。史上最大の減少幅です。岐阜県の総合企画部統計課の調査を見ましても、今後、約半世紀かけてこの流れは例外なく全県的、全国的に確実に推移する見込みで、最も激しいときには年間80万人ペースで減少していくとの予測があります。80万人といえばちょうど東京の世田谷区、静岡の浜松市、大阪の堺市くらいの規模ですから、およそ政令指定都市1つ分が毎年消えていくと、そんなスピードで人口減少が続くとされております。
都市政策を預かる基礎自治体において、こうした時代と同時に訪れているのが都市インフラの老朽化という問題にどう対応するかということです。記憶に新しい笹子トンネルの事故以降、全国各地の都市インフラにおいて緊急点検や補修の予算がとられる傾向にあり、岐阜市も例外ではありません。最近はこの議場で「人口減少」に関するテーマをよく取り上げておりますが、僕自身も人生の大半は間違いなく人口減少社会であることを考えますと、これに対応する責任世代の一人として、今後の岐阜市政において、まさに市長もよく言ってます事前の一策というのを提起し続けたいというふうに思っております。
そこで、今回は都市計画道路の見直しについて佐藤副市長にお尋ねをします。
都市機能の集約化やコンパクトシティーという言葉は今後の岐阜市が目指す都市計画の基本姿勢をあらわすものと考えておりますし、そのためには一度でき上がった道路も将来は集約に向けた都市政策の中で再検討をしなくてはいけない時期も来ると思いますし、何より戦後復興計画のときに線が引かれたものの、いまだ着工に至っていないと、半世紀にわたって着工に至っていないと、いわゆる長期未着手の都市計画道路については本当にこの計画が必要なのかと、この際、見直す時期が迫っていると思います。私が言うまでもありませんけれども、都市計画道路の区域に指定をされています地区住民の皆様は、自分が所有する建築物に対して多くの規制を受けておられます。また、そのことが原因で既に引っ越された方、あるいは、その利用実態についても空き地や駐車場というのが目立ち、土地の有効利用として適切なのかどうか、検討が必要な箇所が幾つかあります。
私は実際にかつてこの計画が廃止になった区域の住民説明会に出席をしたことがありますが、「廃止はわかったが、一体岐阜市は長年の規制に対して我々にどんな補償をしてくれるのか。」と、こんな厳しい言葉が飛び交います。しかし、これが人口減少社会という大きな流れの現実であり、その中で対応すべき事前の一策と思えば、今後はなるべく早期に見直すべきは見直し、地区住民の皆様にも計画にかわる新しいまちづくりの絵を提示する必要があると思います。
佐藤副市長におかれましては、国と地方と、この両方の政策部門を御経験されたお立場から、今後の都市計画道路のあるべき姿について、その基本的なお考えをお尋ねしますと同時に、岐阜市のこの都市計画道路における長期未着手区間というのは幾つあるのか、また、その区間の再検討の時期があるとすればいつなのかについてもあわせてお尋ねをします。

▼ 答弁(副市長)

→都市計画道路は、都市における円滑な移動に対応するとともに、都市環境や防災の空間、あるいはガスや上下水道の供給処理施設を収容する空間を確保し、同時に、都市の骨格を形成して土地利用を誘導するなど、多様な機能を有する根幹的な基盤施設でございます。
全国の都市計画道路のうち幹線街路の整備状況は、平成24年3月末現在で計画の延長が約6万5,000キロメートル、そのうち改良済み、もしくは事業中の延長が約4万2,000キロメートル、まだ着手していない区間の延長が約2万3,000キロメートルございまして、計画延長のうち約35%が未着手、着手をしていないという状況になっております。
今後、我が国では人口の減少が続き、40年後である平成65年の人口は現在の3割近く減少し、昭和35年ごろの人口と同程度になると予測されております。また、我が国の財政状況は急速に悪化しておりまして、社会資本整備におきましても更新需要などの増大により新たな整備が制約されることが想定されております。さらに、議員御指摘にもございましたように、都市計画道路による長期間の建築制限について全国的にも課題となっております。そのような社会経済情勢の中、将来の都市像に応じた市に必要な都市道路網の検討を行うということが必要であると考えられております。
このような中、平成12年12月に国土交通省から、都市計画に関する技術的な助言を示した都市計画運用指針におきまして、都市計画道路の必要性や配置、構造等の検証を行い、必要がある場合には都市計画の変更を行うべきであるとの方針が示されたところでございます。その後、平成14年には都市計画道路の見直しについてガイドラインを作成し、見直しを促進するという考え方が示されました。これらを受けまして、全国全ての都道府県や政令指定都市におきまして都市計画道路見直しのガイドラインが策定され、全国の都市において都市計画道路の見直しが進められたところです。平成23年度末のデータではございますが、全国で約1,400路線、約1,600キロメートルの都市計画道路が変更されており、2回目の見直しに着手している自治体もございます。
続きまして、本市の状況についてお答えいたします。
岐阜県では全国に先駆けて、平成13年5月に都市計画道路の見直し方針案というのを策定いたしました。それを受けまして本市でも平成18年3月に岐阜市内都市計画道路の見直し方針を策定したところでございます。その見直し方針では、都市計画道路を5つの視点、1つには、市の魅力や活力向上。2つには、渋滞対策など。3つには、公共交通の活用。4つには、道路機能の変化。5つには、交通安全や地域の防災。この5つの視点で評価をして、変更検討路線として22路線、約29キロメートルを選定いたしました。その後、都市計画審議会などにお諮りし、さらに、沿線住民の皆様の御意見をお聞きしながら順次都市計画変更の手続を行いまして、平成24年度末までに計画の廃止を9路線、幅員などの計画変更を2路線、合わせまして延長約15キロメートルの都市計画道路の見直しを実施したところでございます。しかしながら、現在も本市におきましては、昭和21年以前に都市計画決定を行い、60年以上未整備となっている区間が27路線、約39キロメートルございます。
都市計画道路を見直すに当たりましては、交通量や交通特性、道路周辺の土地利用などの状況調査、状況の把握が必要となります。交通の状況につきましては、現在、平成23年度に中京都市圏において実施されました交通実態調査に基づき、岐阜市におけます混雑度ですとか、分担率の分析、将来自動車交通量の推計を進めているところでございます。また、土地利用や建築動向などを把握するため、都市計画基礎調査につきましても本年度行っておるところでございます。
今後これらの調査結果をもとに社会経済情勢の変化などを捉えまして、建築制限の影響ですとか、既存ストックの評価など、新たな評価視点を加えまして、2回目の都市計画道路の見直し検討を進めてまいりたいと考えております。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→平成18年3月に都市計画道路の見直し方針を策定しました。平成24年度末までの見直し実績は(廃止が9路線、変更が2路線)です。平成26年度からは今までの調査結果をもとに、2回目の都市計画道路の見直しに向けて、新たな方針や候補路線の検討を実施します。(都市建設部回答)

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