【H25.09定例会】① 自治体外交と2020年東京オリンピック・パラリンピックについて
▼ 質問(和田直也)
→2007年9月、初めてこの議場で本会議質問に立たせていただきました私の初質問の項目は、自治体外交という考え方についてでありました。人、物、金、情報が瞬時に国境を越えて相互に行き交う現代社会では、国と国とが時に外交的に対立する中で、都市と都市との姉妹都市・友好都市関係がむしろ重要視される時代が来ると、そんなお話をしましたところ、市長からも、自治体が国の枠を超えて諸外国の都市と主体的にかかわるということについて今日的な意義は大変高まっているという答弁をいただいております。
自治体国際化協会の調査によりますと、ここ数年、中国の各都市においてはアフリカ各国の都市との姉妹都市提携にかなり積極的です。将来のアフリカ地域への可能性を見込み、都市と都市との関係を国益にも結びつけようとする思惑も見え隠れしますが、姉妹都市の関係を外交的に位置づけている方向性からは、既に外交そのものが国の専管事項という従来の基本的な考え方からの発展的な転換をも予兆していると思います。
岐阜市においては、きのうの松原議員の質問にもありましたように、先人の皆様の御尽力により、1978年・昭和53年のイタリア・フィレンツェ市との友好姉妹都市締結を皮切りに、既に6カ国6都市との間で30年近くの草の根の都市間交流が続けられ、ことし、そのフィレンツェ市とは秋に35周年の記念式典も予定されております。今後は、こうした長年の友好関係をベースに、ますますお互いの情報交流、情報交換を進めて、岐阜市の都市益、地域益にもつながるような外交的な関係も求められる時代になってくるのではと思います。
さて、2020年夏のオリンピック、パラリンピックの開催が東京で決まったということは既に御案内のとおり、日本中が歓喜に包まれました。私自身もテレビの前で飛び上がっていた一人です。この世界的な大会の開催に向けて、これから各界において準備や計画が進みそうで本当に楽しみであります。
そうした中でぜひひとつ検討を始めてはどうかという提案をしたいと思います。
それは海外選手団の事前合宿の岐阜市への招致であります。御存じのとおり、既に開催されましたロンドンオリンピックにおいては、日本の選手団はドイツを初め、ヨーロッパ各国で事前合宿を組みました。7年後の東京オリンピックにおいても同様に、多くの国々が日本国内はもとより、ひょっとしたらお隣の韓国でも行われるかもしれません。JOC・日本オリンピック委員会によりますと、海外選手団の事前合宿は基本的には震災復興支援を目的に東北地方を中心に組まれるとのことですが、ロンドンオリンピックの際に事前合宿がヨーロッパ各国へ分散された状況と比較すれば、東京オリンピックの場合はお隣の韓国や中国での合宿も考えられますが、東アジア地域の地理的条件を考えれば、今度のケースでは比較的日本国内に集中するのではと思います。とするならば、ぜひ180近くの国や地域から成る海外選手団のうち1カ国でも岐阜市に招致できないかと期待をするものです。
記憶に新しいのは、2002年に日韓で共同開催されましたFIFAワールドカップの際に、大分県中津江村、現在の大分県日田市においてカメルーンの代表選手団が事前合宿を組み、地元住民との盛んな国際交流が報じられたことです。岐阜市は幸いにも昨年ぎふ清流国体の実績を積んだばかりで、メモリアルセンターの陸上競技トラックや水泳プールなどは既に国際基準に改修済みで、受け入れるハードは整っております。
さきの岐阜県知事の定例記者会見では飛騨地域への事前合宿招致に向けて今後調整していきたいとの方針も伺っておりますが、市長が最近多用するようになった自治体外交の考え方に立ち、この秋にも訪れる予定のフィレンツェ市を初め、これまでの友好姉妹都市の関係をベースとして可能性を探るなど、県とよく連携をした上で招致活動を展開してはどうかと考えますが、そんな夢提案について市長のお考えをお尋ねします。
▼ 答弁(市長)
→グローバル化が進む現代社会におきましては一国のみでは解決できないさまざまな課題が増大してきております。エネルギー問題、食料問題、資源の問題、貿易摩擦、領土問題等もあるわけでありますが、こういった課題に対しまして国家間の外交というものはまさに国益が最優先されるわけでありまして、時には緊張関係を招くこともあるわけであります。最近でもさまざまな事例があるわけです。そこで重要と思われるのがまさに自治体外交でありまして、この自治体間だけではなくて、広く市民の皆様方をも巻き込んだ自治体外交は、人と人との顔が見える信頼関係を構築できるものとして、今後ますますその重要性は高まってくるというふうに思っています。こうした認識のもと、先月訪問いたしましたブラジル・カンピーナス市を初めとする6つの友好姉妹都市との交流、さらには、近年では、教育視察に行きましたフィンランドのエスポー市、あるいは観光連携をしようということで訪問いたしました台湾の新北市などとも「教育」や「観光」など特定のテーマで都市間交流を推進しているわけであります。このように各都市の特性に応じた都市間交流によってお互いの強みを生かし、補完関係を発揮しながら相互に信頼を高め合うという、まさに未来志向型の自治体外交を今後展開していかなければいけないというふうに思っています。
さて、先日、9月の7日でありましたが、プレゼンで「おもてなし」という、まさに先ほどお話があったグローバル・イングリッシュなども功を奏しまして、東京への2020年夏季オリンピック・パラリンピックの誘致が成功いたしました。世界最大のスポーツの祭典でありますから、ぜひこれが成功し、国内のスポーツ振興によって活力あふれる健全な社会ができることを期待をしているわけであります。
先ほども御指摘がありましたように、近年のオリンピックでは、多くの国において自国との時差の解消、あるいは気候への順応のため、開催国や近隣の国で選手団の事前合宿を実施しております。特に東京オリンピックは真夏、オリンピックは7月の24日から8月9日というまさに真夏に開催されます。パラリンピックも8月25日から9月6日ということでありますから、大変暑い酷暑での開催ということになります。この日本の気候に事前になれておくことも大変重要なテーマになってくるだろうと、こういうふうに思いまして、今回2020年の東京オリンピック・パラリンピックに際しては、日本での事前合宿というのは大変必要性が高まるだろうと、こういうふうに思っております。しかし、本市に事前合宿を誘致するというためには、宿泊能力でありますとか、特に競技施設の規格などが大変重要な条件となってまいります。オリンピックでは28競技あるようでありますし、今後ふえるかもしれませんが、その中で何が岐阜市でできるのかということであります。
市内には県有施設を中心にしまして、競技施設としては長良川競技場、球技メドウ、テニスプラザなど各種の競技に対応できる施設があります。宿泊施設につきましては、本市には多くのホテルや旅館などの宿泊施設があり、特に大きな問題はないと考えております。こうした施設を有する岐阜県とも十分連携を図りながら、さまざまな条件について検討をし、もし可能ということであれば、これまでの自治体外交の実績を踏まえ、友好姉妹都市である6つの国、さらには、台湾など新たな自治体外交を展開しているルートを最大限に活用して、誘致に向けた働きかけについて検討をしてまいりたいというふうに思います。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中
→岐阜県としては「飛騨高山御嶽トレーニングセンター」へ誘致に向けて検討をはじめています。岐阜市としては、国・県の動向を見守り、対応について検討していきます。(教育委員会回答)