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▼ 質問(和田直也)

→日本は、これから約半世紀という長い時間をかけまして、世界のどの国も経験したことのない人口減少社会を迎えると言われております。国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、日本の人口は2030年には1億1,522万人、2060年には8,674万人になるというふうに言われております。見る見る人口が減り縮んでいく社会の中で、国においては社会保障制度の抜本的見直しが語られる一方、地方自治体、特に市政を預かる私たちにおいても持続可能な都市づくりへ向け、事前の一策を打っていかなければいけません。
今申し上げました人口問題研究所の統計手法や総務省の国勢調査に基づきまして、同じように将来の岐阜市の推計人口を見てみますと、現在の41万人口に対しまして、2020年には36万人、2030年には31万人というふうに言われていまして、35年になりますと、29万人というぐあいに30万人を割り込む推計も出されております。しかも、人口に占める高齢者の割合が格段に増加する見込みであることも見据えていかなければいけません。
私は今32歳ですけれども、まさにこの先半世紀、人口減少と真正面に向き合う責任世代として、これからの市政政策、とりわけ対人口減少に対しては多角的に捉えていかなければならないと考えております。
そこで、今回は、まず、持続可能なまちづくりの議論でよく言われます集約型都市に関連をしまして、その考えに沿った都市計画について企画部長にお尋ねをします。
この春、改定を迎えます新しい岐阜市の総合計画によりますと、岐阜市は引き続き多様な地域核を持った集約型都市を目指すとの方針が示されております。この考え方の大枠は公共施設や病院、スーパーなど、地域の核となり得る施設の適正配置を促すことで、無秩序な開発を規制し、まとまりのある都市をつくろうというもので、この考え方には一定の理解をしております。しかしながら、都市計画道路の見直し、廃止といった議論が既にここ数年の都市計画審議会でもありますように、拡大路線一筋に描かれた岐阜市の将来都市像も今や人口減少の象徴のごとく、新たな線引きについては相当慎重になっておりますし、むしろ一度指定した市街化区域についても、将来は逆線引きをするということも想定しなければならないのではないかと考えております。
というのも、つい最近の話ですけれども、準工業地域に区分けされております地域の方から、「うちはこの先も農業を営んでいきたいけれども、宅地並み課税がされているだけにもう何をつくっても道楽程度のもので困っている。──と、──生産緑地制度が適用されないか。」といった相談がありました。
岐阜市は御存じのように、生産緑地地区は指定していませんけれども、別の次元では農業をやりたいという新規営農者、就農者を支援する地産地消立市も標榜しているわけです。人口減少と集約型都市を目指す中で、今後は都市と豊かな田園が隣接する近未来型のコンパクトシティーについても研究をしていく必要があると思います。
田園とコンパクトシティーといえば、その実現に取り組む富山市が特に参考になると思います。富山市においては、人口減少社会では、どの地域も均等に予算投資をすることは難しいので、それならばまとまりのあるこの集約型の都市形成、中心市街地への再投資を促し、集約化を進めるということで持続可能な都市形成に向けた理解を求めるのが合理的ではないかと。いわば消極的な理解者というのをふやすことが肝要だとの考え方に基づき、例えば、その意識形成としてセントラムやポートラムなど、LRTによる視覚的にも象徴的な公共交通政策も実に強力に取り組んでおります。
企画部長におかれましては、新しい総合計画を目前に、今後、岐阜市が目指す集約型都市の姿について、その基本的な考えをお尋ねします。

▼ 答弁(企画部長)

→少子化による人口の減少及び高齢化の進展は、自治体の都市経営に大きな影響を及ぼす要素であります。岐阜市では平成15年度に策定いたしました岐阜市総合計画ぎふ躍動プラン・21の基本構想策定時に国勢調査結果等をもとに人口推計を行う中で、将来の人口減少を予測し、これに対応した長期的な視点に基づくビジョンとして、5つの将来都市像の1つに「多様な地域核のある都市」を掲げたところであります。この「多様な地域核のある都市」というビジョンは、都市計画的な観点と都市内分権的な観点を包含するものであります。
まず、都市計画的な観点としましては、従来の人口増を前提とした市街地拡大を抑制し、日常的な生活はなるべく自家用車等に頼ることなく、歩いたり自転車などによって身近な地域生活圏の中で済ませ、必要なときにはバスなどの公共交通によって拠点と拠点の間を移動できるような、そういう都市構造に転換していこうとするものであります。このビジョンに基づきまして、平成22年5月には都市計画マスタープラン、平成23年3月には住宅マスタープランが策定されたところであります。
また、都市内分権的な観点といたしましては、それぞれの地域核において生活者みずからが地域の個性と特色を形づくり、市域全体の多様性を実現することにより時代の変遷や世界情勢の変化への適応性にすぐれた都市形態を目指そうとするものであります。現在、市民参画部が進められておりますまちづくり協議会の設立やその後の都市内分権への取り組みの基底をなす理念がこれであると言えるかと思います。
この基本構想に示す将来都市像に基づき、今年度策定を進めてまいりました総合計画の次期基本計画でもお示ししておりますように、引き続き岐阜市の人口は緩やかではありますが、減少傾向にあるものと予測しております。しかし、人口減少そのものは必ずしも悲観的に考える必要はないと思います。人口の減少に伴って、公共施設を初めとする社会基盤等を適切な規模に縮めていくことが肝要であると考えます。かつての高度成長期にさまざまな社会基盤を拡大していったように、今度はこれとは逆にさまざまな社会基盤等を適切な規模に縮小していかなければなりません。しかも、それは混乱を生じないように、緩やかに、また、スムーズに行われていくことが重要です。
お尋ねの市街化区域につきましても同様であると考えます。本市の市街化区域につきましては、岐阜県において人口、産業、市街化の現況及び動向を勘案し定められており、平成32年まで現在の市街化区域を拡大しないものとされております。その面積は市域約2万289ヘクタールのうち約8,027ヘクタールであり、約39.6%となっております。
議員御質問の集約型都市に向けた市街化区域の縮小につきましては、市街化区域内の人口密度調査などから、今すぐに市街地規模を見直す段階にまでは至っておりませんが、将来的な課題といたしまして、市街地における人口の動向や都市計画を取り巻く環境の変化などを今後注視してまいりたいと考えます。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→都心居住の推進(市街地再開発事業:岐阜シティ・タワー43、オアシス柳ケ瀬、スカイウイング37)の整備。都市内分権の検討(多様な地域核の形成、まちづくり協議会への支援)などを実施。岐阜都市計画区域マスタープランによる市街化区域の縮小(平成32年まで現在の市街化区域を拡大しない方針を取りまとめる)(企画部回答)

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