【H24.09定例会】① 長良川の原風景を取り戻す方策について
▼ 質問(和田直也)
→先日ある教育関連の講演会で安藤前教育長さんのお話を伺いました。講演の後の質問の席で出席していた若者から、「若者に託したい思い、何か思いはありますか。」と問われるシーンがありました。これに対しまして安藤さんからは、「私には最近気になっていることがあるんです。──と。──それは長良川の原風景についてです。岐阜の代名詞とも言える長良川、この長良川を長良橋や金華橋から眺めたときに、金華山の緑、長良川の青、玉砂利の白と、この緑、青、白、この3色が岐阜の原風景だったように思います。──と。──最近このうち玉砂利、河川敷に多くの雑草が生えるようになり、緑、青、白が緑、青、緑と一見緑がふえて結構かと思われがちですが、一方では、河川環境が変化してきているのではないかと、そんな心配もしています。若い皆さんの中で脈々と受け継がれてきた長良川の原風景を守っていってほしい。」と、そんなお話がありました。
議会でもよく振り返ってみれば、2年前に関市で開かれました全国豊かな海づくり大会に合わせまして、長良川の原風景を取り戻すための草刈りの予算というのが計上されたことがあります。これは天皇皇后両陛下の御来県に合わせてとられた予算とのことで、先日、松原和生議員も触れておられましたけれども、天皇陛下がお見えになると道路がきれいになったりとか、あるいは草刈りの予算がついたりするとの都市伝説があるとのことで、ことしもその年に当たります。
ということはともかくとしまして、草は刈っても刈っても時がたてばまた生えてくるわけで、むしろなぜ草が生えるようになったのか、もっと原点に立ち返り調査していく段階に来ているのではないかと思います。
河川敷に雑草がふえてきたことについては、鵜匠の皆さんからも懸念の声が上がっております。河川敷に雑草が生えるようになったのは、細かい砂や土が流れてきている、あるいは堆積していることのあかし。ということは、川底にも堆積している可能性が高いのではないかと。大きな玉砂利に付着する藻も減っているのではないかと。アユのえさになる藻が減ると鵜飼そのものにも影響が出てくるという、そういう懸念の声です。
長良川鵜飼は世界遺産登録も目指している岐阜の守るべき大切な財産であることは言うまでもないことでありますが、そのためにも、このところの目に見える河川環境の変化については、やはりきちんとその原因究明のための調査を開始する時期に来ているのではないかと思います。
その所管が岐阜市ではなく県あるいは広域の国ということであれば、現場を預かる基礎自治体岐阜市として働きかけもしていただきたいと思います。長良川の過去の写真を見比べてみますと、確かに緑、青、白から緑、青、緑に変化しつつある河川環境の変化は見受けられると思います。原点回帰ということで、長良川の原風景を取り戻すための方策という点について基盤整備部長のお考えをお尋ねをします。
▼ 答弁(基盤整備部長)
→本市では昔から日本有数の清流であります長良川から、歴史、文化、産業などの分野において多大な恩恵を受けてまいりました。しかし、近年この清流長良川の河岸に植物が繁茂し、昔懐かしい砂れき河原の風景が大きく変化してきております。国においては植物の生息状況などの経年変化を把握するため、「河川水辺の国勢調査」と銘打った調査を行っているところでございます。例えば、忠節橋から鵜飼い大橋周辺では、昭和55年に確認されなかった外来種でイネ科に分類されますシナダレスズメガヤという雑草の一種が平成19年には20ヘクタールを超えるまでに増加したというデータがあり、外来植物の侵入も草地への進行を早める要因の1つと考えられます。
そのため国では観光拠点やアユの産卵床などの地域特性を踏まえた中で、平成21年には長良橋上流で表土の掘削、平成22年には「全国豊かな海づくり大会~ぎふ長良川大会~」に合わせて本市と連携し、除草などによる砂れき河原の風景の再生、平成23年には試験施工として、れきの置きかえ厚さや冠水しやすい所としにくい所など条件を変え、河床材料及び植生などの経年変化を確認し、効果的な砂れき河原の再生方法の検討、今年度には鵜飼い大橋周辺の一部で砂れき河原の再生工事に着手すると伺っており、かつて広がっていた長良川らしい砂れき河原の再生を目指したさまざまな取り組みがなされているところでございます。
本市にとりましても長良川の原風景を回復し、豊かな自然の恵みを次世代に引き継ぐための河川環境整備や保全については大変関心があり、重要なことと考えております。そのために「河川水辺の国勢調査」など環境状況や、生物の生息、生育や繁殖状況の経年的な変化を定期的に調査することは大切なことであると考えております。このような観点から、長良川流域の総合的な環境改善策の推進などを目的として、平成19年7月に流域の18市町や企業、環境保全活動団体などで設立しました長良川流域環境ネットワーク協議会などを活用して、長良川全体の環境改善に努めていく必要があると考えております。
このような広域的な組織での意見交換などを踏まえつつ、既存の調査の継続や新たな調査などを庁内の関係します部局が一体となって、河川管理者、環境省などの関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中
→国土交通省木曽川上流河川事務所により、鵜飼大橋下流から岐阜グランドホテル前付近の区間について、平成28年度までの予定で砂れき川原の再生工事が順次進められており、平成26年度は、リバーパークおぶさ広場前付近でも工事が行われました。長良川環境レンジャーなど流域の関係団体により、長良川流域一斉環境調査が継続して実施されており、平成26年度も調査が行われています。(基盤整備部回答)