【H24.09定例会】④ より公益的な生涯学習の推進について
▼ 質問(和田直也)
→これまで生涯学習といえば趣味とか文化を楽しむ講座が中心で、豊かな日常生活を営む場として、あるいは住民同士のコミュニケーションの場としてのイメージが定着をしていましたけれども、今回のこの市民大学構想というのは、地域課題を具体的に挙げて学び、修了者には、より実践的に地域のリーダーとしての役割を期待しているとのことです。講師陣も大学教授とか行政職員、企業経営者などをそろえて、半年を目安としたカリキュラムということで、県内では初めての試みとのことです。
ところで、昨今、折々に叫ばれております官から民へというフレーズは具体的にどういう社会のことなのかと自問自答を繰り返しますと、この恵那市の市民大学構想というのは、もうまさに理にかなっているのではないかというふうに注目をしています。というのも官から民へというのは市民みずからが知恵を絞りながら自律した社会やまちづくりを行っていくというわけですから、そのための知識を積み、絶えず情報収集を続けること、それをサポートする場としての市民大学が趣味や文化の枠を超えて、より実践的、より公益的なテーマを前提に創設されるわけですから、まさに市民の時代を象徴していくのではないかと思うからです。
余談ですが、こうして眺めますと、議員という仕事もますますその質の向上が求められます。減っていく予算とか、あるいは限られてきた予算と言われる中で、その負担をどう分配していくかという重い決断をしていく仕事ですから、右肩上がりの富の分配の時代に比べれば大変やりにくい時代となっております。だからこそ、決めたときの説明責任というのがますます求められてくると思うわけですが、市民意識としても少しずつ要望陳情型から脱却をして、減っていく予算を前提にまち全体の未来をどう語るかと、まさに知恵袋の人材育成にも取り組んでいく必要があると思います。
さて、統計データというのを眺めますと、高齢社会を前提に今後は会社ではない場所で、具体的には、地域社会で長い時間を過ごす人々がふえていく傾向にあります。こうした時間をどのように過ごしていくのか、あるいは地域社会に一番近い基礎自治体としてどのように誘導していくのか。
昨年の震災を受けて本当に多くのボランティアが集まりましたが、このボランティアの分野にも知識、知恵と経験というのが求められるようになっております。気持ちはうれしい、しかし、知識、知恵と経験を兼ね備えた人材はさらに公益的に貢献していただけると。地域社会という経済活動とか、あるいは生産活動とは少し離れた、しかし、私たちが生きていく上で大変重要な分野を担っていく人材を育成していくことがますます求められると思います。
岐阜市には既に長良川大学を初め、数多くの生涯学習を展開をし、また、学び得た知識をもとに次に還元していくリーダー養成講座といった施策も進められておりますけれども、こうした動向を踏まえまして、今後の生涯学習の推進について市民参画部長にお尋ねをします。
▼ 答弁(市民参画部長)
→生涯学習とは、人々が自己の充実、啓発や生活の向上のために自発的意思に基づいて行うことを基本とし、必要に応じて自己に適した手段、方法をみずから選んで、生涯を通じて行う学習であります。日々の生活や人生の歩みの中で楽しみを見つけ、生きがいを持って暮らせるよう一生を通じて自分を高め、磨いていくことでもあります。しかし、近年さまざまな課題が山積する現代社会においては、こうした個人の需要を満たすための学習機会だけではなく、現代的課題の解決を目指した学習機会が必要とされております。市民がみずから地域の課題について学び、その学習の成果を社会に還元し、さらに活動につなげていく生涯学習によるまちづくりという考え方を市民の皆様と共有していくことが重要であります。
こうしたまちづくりを担う人材育成につきましては、本市ではさまざまな取り組みを行っております。まず、市民が学んだ成果を生かして市民講師として活動する市民自主講座でございますが、その開設数は平成20年度の45講座から、平成23年度には138講座となっており、着実に拡大し続けております。また、平成19年度から平成21年度には団塊の世代のための市民講師養成講座を、平成20年度から平成21年度には地域課題解決入門講座、セカンドライフの居場所づくり事業を、さらに、平成22年度からは生涯学習によるまちづくり人材養成事業を行っております。
今後はこうした学習の成果を地域社会の発展、まちづくりに生かしていくことが重要であり、自治会を初めとする地域団体やNPO、市民活動団体など、多様なまちづくり活動と連携することが必要となります。そのためには多様なまちづくり活動について多くの情報を提供し、また、活動にかかわるきっかけづくりを支援する市民活動の中間支援機能の充実が重要であり、つかさのまち夢プロジェクトで絆の拠点と位置づけております仮称・市民活動交流センターがその大きな役割を担うものと考えております。学んだ市民がその活躍の場を求め、実践的かつ公益的な市民活動を経験することによって、さらなる専門的な学びへの意欲を高める、そうしたよい循環をつくっていくことで、生涯学習とまちづくりの連携が強いものになってまいります。
今後も長良川大学などを通して、直面している地域の課題や現代的課題について学んでいただく機会を積極的に提供するとともに、学んだことを生かすことができるよう市民活動団体とのつながりづくりを行うなど、より公益的な生涯学習の推進に努めてまいります。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中
→既存の生涯学習センターと連携し、学習機会を経て学ばれた市民の皆さんが活躍の場を求めて実践的かつ公益的な市民活動へと進められるサポート・支援体制を推進しています。
→平成24年度「生涯学習によるまちづくり人材養成講座」市民講師コース、コーディネーターコース。平成25年度「生涯学習によるまちづくり人材養成講座」NPO・市民活動団体の活動紹介を盛り込む。平成26年度「生涯学習によるまちづくり人材養成講座」NPO・市民活動団体の活動紹介、市民活動交流センターとの連携などとの検討を盛り込む。(市民参画部回答)