▼ 質問（和田直也）

→岐阜市新庁舎建設基本及び実施設計プロポーザルの審査結果が公開され、事業者が決定されました。公開されました技術提案は、あくまで設計者を選定するためのものであり、そのまま設計案となるものではないことは十分に理解した上で、しかし一方で、今後は示された案を基に、広く市民の皆様をはじめ議会、専門家からも意見を聴くとのことでありましたので、その見解をお尋ねしたいと思います。岐阜市が当初より各事業者に求めた要綱には、みんなの森ぎふメディアコスモスとの一体性・調和を重視することが明記されています。したがって、今後この原案を基に岐阜市と事業者とで開くワークショップ等の機会には、市民の皆様や我々議会は勿論ですが、いわゆる専門家である伊東豊雄氏や岐阜市景観アドバイザーにも意見を伺うことは、庁舎設計に対して岐阜市が求めた諸条件とも照らし合わせても理に叶うものと考えますが、いかがでしょうか。

▼ 答弁（行政部長）

→今回、新庁舎の設計事業者の選定方式として採用しましたプロポーザル方式は、設計案を選ぶコンペ方式と異なり、発注者が求める業務を具体的に実現することができる設計者を選ぶものでございます。したがいまして、今後の設計作業においては設計事業者の提案をそのまま採用するのではなく、市民の皆様などの意見に丁寧に耳を傾け、さまざまな検討課題を整理しながら、これに設計事業者の経験やノウハウ、あるいは今回提案されたアイデアなどを活用して作業を進めてまいりたいと考えております。このようなことから、新庁舎の形状につきましても、その決定に当たっては次のような３つの観点から検討課題を整理する必要があると考えております。
まず１点目は、構造や設備、メンテナンス面における合理性でございます。
当然ではございますが、新庁舎の形状によって、建築基準法や都市計画法、消防法といった関係法令に定めるさまざまな規制が異なってまいります。また、構造の安定性や防災上必要な設備が異なること、あるいはライフサイクルコストの観点から建設後のメンテナンス面についても検討が必要であります。
次に、２点目は、周辺の環境や景観との調和であります。
新庁舎の建設地は「みんなの森　ぎふメディアコスモス」や「みんなの広場　カオカオ」に隣接するとともに、岐阜市景観計画において歴史的景観や自然景観にすぐれた区域として指定された金華区域や金華山・長良川区域に近い場所にあることから、これらの周辺環境や景観との調和にも配慮が求められます。
また、３点目は、市庁舎に必要な機能や執務空間の効率性でございます。
新庁舎の形状の決定に当たっては、市民の皆様の利便性を高めるため、現在分散している窓口部分の集約や移動負担の軽減、防災やセキュリティーの観点から、庁舎の熱源や電気といった基幹設備と情報システム機器の集約、さらには、職員が効率的に職務に従事できるよう、例えば、基盤整備や都市建設、まちづくりといった業務上緊密な連携が必要となる部門の集約など、さまざまな機能や執務空間を効率的に組み込んでいくことも必要になると考えております。
次に、専門家からの意見の聴取に関してでございます。
さきにも申し上げましたとおり、設計作業においては市民の皆様初め、さまざまな方々から意見を伺うことが重要であり、また、新庁舎の形状については、皆様の御意見とともに周辺環境や景観との調和を図ることも大切であります。新庁舎と「ぎふメディアコスモス」が隣接することは、他都市にはない岐阜市ならではの特色であり、この区域を多くの人々が集い、にぎわいにあふれる空間にするためには、２つの施設の親和性の確保に配慮することが重要であると考えております。
このため、「ぎふメディアコスモス」設計者である伊東豊雄氏や、景観形成について意匠や色彩、緑化といった専門知識を有する景観アドバイザーの方々から意見をいただくことは非常に有益であり、適切な時期にこれを行いたいと考えております。
いずれにいたしましても、新庁舎の建設は岐阜市百年の大計と言える大変重要な事業であります。今後の設計作業に当たりましては、市民の皆様方の利便性や防災を初めとする機能性を高めるとともに、周辺環境や景観との調和にも配慮し、市民に親しまれ、市民の誇りとなる新庁舎を実現できるよう知恵を絞り、取り組んでまいりたいと考えております。

▼ 質問＆答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→新庁舎の形状については、市民や専門家の意見を踏まえながら、構造や設備メンテナンス面における合理性、周辺の環境や景観との調和および市庁舎に必要な機能や執務空間の効率性など、多角的な観点から検討を重ねた上で決定し、平成２８年３月「岐阜市新庁舎基本設計」を策定しました。（行政部回答）