【H24.09定例会】③ 都心回帰と三世代同居について
▼ 質問(和田直也)
→右肩上がりから右肩下がり、人口減少と少子・高齢化、日本の社会転換というのは人々の生活拠点である都市、その都市経営に大きな転換期をもたらしているということは言うまでもないと思います。
岐阜市の人口も現在の41万人から将来的には30万人へと減少していくとの予測統計も発表されております。限られた予算の選択と集中が「教育」とか「医療」などというテーマによるものにとどまらず、都市の中のどの地域にこの予算の選択というのをすべきなのかという、そんなシビアな選択というのもしていかなければいけない時代を迎えているように思います。こうした中、昨今掲げられております都心居住に関する各種政策というのは、まさにもう一度コンパクトにまとまって暮らそうという、都心に回帰していこうという人口減少社会を見据えた合理的な方針であると思います。
と同時に、昨年の震災を契機に全国的に言われるようになったきずなという言葉にも代表されますが、日本人というのはもう一度、社会の原点である家族のあり方を見直すべきではないかと、最近はそんな声が大きくなったのか、家族に焦点を当てた書籍とか、あるいはイベントとか運動とか、啓発がにわかにふえてきたように思います。
振り返れば人口が30万人前後だったころの岐阜市というのは、昭和30年から昭和40年代、いわゆる古きよき時代と最近よく耳にする言葉が示す時代のことだと思いますけれども、このころの日本社会というのは、長寿番組「サザエさん」、きのうもやっていましたけれども、この「サザエさん」を象徴とする3世代同居が大半でありました。今でも変わらず黒電話であり、また、木枠のテレビとか、畳の居間にちゃぶ台を囲む家族の団らんがあったりとか、携帯もマイカーも液晶テレビもない、いわば一昔前の日本の姿となった「サザエさん」が今も不動の支持を得られているのは、こうした姿に共感する声が少なからずあるからではないかと思います。
さて、決算認定の議案精読のときにもお尋ねをしたのですが、都心回帰、都心居住に関連して行っています住宅助成の申請、あるいは、この問い合わせ件数というのは、今年度についてはきのう竣工式を迎えましたスカイウイング37にも関連したものも含めて増加傾向と、また、ファミリー世帯、スカイウイング37に入居するのはファミリー世帯が増加しているということで、今後に期待をしたいところですが、と同時に、3世代同居を促すような制度研究も進めていただければと思います。
というのも、僕も最近30代前半という世代に入りますと、周りが結婚し、子どもを産み育てという世代が周りにたくさんふえてきました。次はマイホームかというふうにだれもが抱くと思われる夢とは裏腹に、最近は夫婦共働きが当たり前の世帯がふえ、また、将来不安が拡大しているためか、マイホームは別に要らないと、車も乗れるまで乗ると、物の豊かさの追求から転じて、親と同居あるいは近くに住んでいられたら子どものことも安心だと、いずれは都心の便利な所に住みたいと、そんな声も聞かれるようになりました。いっそ3世代同居を促す制度とかつくってほしいと、そういう声さえ聞かれるようになっております。
先日、若手議員の研修で、三重県亀山市の関宿、ここは東海道五十三次の1つですけれども、この宿場町の保存について、沿道の木造家屋世帯に孫の世代が回帰しつつあるとの事例を見せていただきました。古きよきもの、その原点に魅力を感じてじいちゃんの家に夫婦で住むことを選んだ孫の世代、こうした傾向や動向に注目をしつつ、岐阜市の中心部市街地というのは、高齢世帯あるいは一軒家でありながら独居世帯というのがふえてきているように思いますので、この岐阜市中心部の住宅政策にもいろいろなヒントが見え隠れしているように思います。現に中心市街地の各校区の65歳以上の高齢世帯というのは30%を超えているというのがもう大半であります。ぜひそういったことを念頭に置いて制度研究をしていただきたいと思います。
間もなく2期中心市街地活性化基本計画も本格的に入っていくわけですが、こういった中心市街地の既存の木造住宅や建築物の利活用も含めて、家族という原点を大切にした取り組みに期待をしたいと思います。まちづくり推進部長のお考えをお尋ねをします。
▼ 答弁(まちづくり推進部長)
→平成22年の国勢調査によりますと、本市の中心部の人口は約6万7,000人で、昭和35年から半減し、高齢化率は市全域が約24%であるのに対して、中心部は約32%に達しており、人口減少と高齢化が顕著であることから、中心市街地では居住人口の回復と若年層の流入促進が大きな課題となっております。
中心市街地の居住人口の増加を目指して、平成23年度から新築住宅取得助成事業、賃貸住宅家賃助成事業及び個人住宅取得資金利子補給事業のまちなか居住支援事業を開始しており、また、本年6月に内閣総理大臣から認定を受けました2期中心市街地活性化基本計画でも、まちなか居住の推進を目標の1つに掲げ、引き続き実施するところでございます。
議員御質問の3世代同居についてでございますが、国勢調査によりますと、市の全世帯約16万1,000世帯のうち、3世代で暮らす世帯は約1万5,000世帯で、全体の9%ほどであると把握しております。
平成23年3月に国で策定されました住生活基本計画の基本施策として、「既存ストックを活用しつつ、高齢者等向けの賃貸住宅の供給や三世代同居・近居への支援を行う。」との方針が示されております。また、平成23年3月に策定いたしました岐阜市住宅マスタープランでは、親世帯と子世帯が同居またはすぐに行き来できる距離でそれぞれ充実した生活を営みながら、子育てや介護、日常の困り事をお互いに助け合える親と子世代の近距離居住を推進することにしております。今後ますます進む少子・高齢化による高齢者の孤立防止、家族のきずなの再生、育児環境の改善を図っていくには、3世代同居あるいは近距離居住の政策が重要になってくるものと考えております。
いずれにいたしましても、3世代同居については2世帯住宅の確保、建設資金の増大、多様化するライフスタイルなど、それぞれの世帯事情によりさまざまな課題があるものの、本年度のまちなか居住支援事業の利用者の中にも近距離居住や3世代同居の実例もございますので、今後どのような政策が有効であるか、可能性を探ってまいりたいと考えております。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中
→少子高齢化による高齢者の孤立防止、家族の絆再生、育児環境の改善を図るため、三世代同居・近距離居住の政策は非常に重要であるため、ひきつづき、どのような政策が有効であるか検討を進めていきます。まちなか居住支援事業利用者における近距離居住や三世代同居世帯の割合についても、以前より増加してくるため、今後も事業を促進していきます。(まちづくり推進部回答)