【H25.06定例会】③ 落書き防止策とまちづくり支援について
▼ 質問(和田直也)
→去る6月15日、先週土曜ですが、岐阜市玉宮町周辺の地元有志の呼びかけによる落書き消しボランティア活動が展開されました。理事者側からも武政副市長、黒田市民生活部長、日野都市建設部長を初め、多くの市職員の皆さんが、また、この議場では、──あ、見えませんけど、富田耕二議員も手や顔を、また、大切な腕時計をペンキで汚しながらも、みんなで懸命に落書き消し作業に加わりました。本当にお疲れさまでした。途中、通りがかりの方から、「どうせイタチごっこだから意味ないよ。」との厳しい、ある意味さめた一声もありましたが、これは諦めたほうが負け、落書きをされてそのまま放置することは、その地域の自浄作用、自治がないということをさらけ出しているようなものです。まさに問われているのは地域力だというふうに考えています。しかしながら、ごみのポイ捨てやスピード違反と同じように、残念ながら常態化している、しつつある大小さまざまな落書きは、本来は刑法の規定する器物損壊に値するものですが、現行犯でない限りなかなか摘発するのが困難なのが現実です。イタチごっこだから意味ないよとのさめた見方が地元地域に広がることのないように、今後も主体的かつ継続的なまちづくり支援と防止策が大切だと考えています。一方で、今回のような中心市街地のまちなかでの取り組みというのはもともと日常的な人の目もあり、比較的地域力を維持しやすい地域なのですが、果たして住宅街において同様の事例が起きた場合に、こうした市職員挙げての取り組みが可能かどうかというふうに問われれば、なかなか迅速な対応は難しいのも事実かと思います。実際、私の近所でも家の壁面に落書きをされた方がいらっしゃいます。こうしたケースの場合、「何かこのおうちは誰かとトラブルでも抱えているのではないか。」との誤解をですね、持たれてしまったり、実際に被害に遭われた方が近所からそんなふうに思われているんじゃないかというような懸念をされてしまうと、心配されてしまうと。さらに、被害に遭われた方が泣く泣くみずからホームセンターで道具をそろえて落書きを消す作業をしていると、そんな実態もあります。人通りの多い中心市街地とは異なり閑静な住宅街にある悲しい実態です。
ニューヨークのマンハッタンにも見受けられるように、落書きは芸術だと、大いにこの大きなキャンバスに描けと言わんばかりに積極的に黙認している場所は、岐阜市には今のところありません。したがって、被害に遭われた方を積極的に支援する、あるいは未然に防止する策が必要だと思います。岡山県においては快適な環境の確保に関する条例において罰則規定を設けるなど、主体的な対応を行っております。もちろん落書きだけを取り上げて直ちに岐阜市が何か条例をつくっていくということは難しいとは思いますが、その分、落書きに遭われないようにするための未然防止策が必要ですし、また、一方で、5名以上の有志が集まれば道具購入の支援をする制度も既にありますけれども、引き続きそうした制度の周知にも努めていただきたいと思っています。市民生活部長には、この問題に対する防止策とまちづくり支援の考え方についてお尋ねします。
▼ 答弁(市民生活部長)
→現在問題となっておりますラッカースプレーなどによる民家の壁、塀などへの落書きは、まちの景観を損なうだけでなく、いたずらなどでは済まされない犯罪行為であり、器物損壊罪に当たります。落書きに限らず、このような街頭犯罪を防止するためには、地域の安全ボランティア団体のほか、自治会、商店街、青少年育成市民会議、PTA、老人クラブなど、各種団体の皆様によります夜間の見回り、防犯カメラや啓発看板等の設置、迅速な対応など、地域力に基づく抑止策が大変重要であるとされております。
この街頭犯罪抑止に直結する地域力を醸成するために、本市では平成15年度から、みんなでつくる「ホッとタウン」プロジェクト事業を実施しております。事業内容は、見回り、見守り等の地域安全活動に必要なジャンパーなどの物品や啓発看板の支給、防犯灯、防犯カメラの設置補助、青色回転灯を使用した自主防犯パトロール実施のサポートなど、地域の皆様の安全、安心なまちづくり活動を支援するものでございます。これまでに延べ600件を超える支援をしてまいりました。その結果、刑法犯認知件数は、ピーク時であります平成14年には約1万4,000件ありましたが、平成15年度にみんなでつくる「ホッとタウン」プロジェクト事業を開始した後は年々減少し続け、平成22年以降は約6,500件前後と、ピーク時の半分以下で推移をしております。これも地域の皆様によります、「地域の安全は地域で守る」との日ごろの精力的な取り組みのおかげであると心より感謝している次第でございます。本当にありがとうございます。
街頭犯罪につきましては、犯罪心理を的確にあらわした割れ窓理論というものがございます。心理学者ジョージ・ケリングが提唱したもので、窓ガラスを割れたままにしておくと、その建物は十分に管理されていないとみなされ、ごみが捨てられるようになり、やがては地域の環境が悪化して凶悪な犯罪が多発するようになるという理論でございます。この割れ窓理論によりますと、落書きにつきましても放置せず速やかに消去することが犯罪を抑止するための重要なポイントと考えられます。
落書き消去につきましては、景観行政の担当部署でありますまちづくり推進部が落書きを消去するための助成制度を用意しております。この制度は快適に安心して暮らせる町並みを守るため、落書き消去のみならず、予防に係る経費も対象としておりますので、不幸にも落書きをされてしまった不動産等の所有者及びその周辺地域の皆様、さらに、落書き予防活動を検討されている地域の皆様に、犯罪の連鎖を防ぐためにもぜひ活用していただきたいと存じます。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ ○ 達成・実現
→平成25年度から落書き消去活動等支援補助金を予算計上(50万円)し、平成25年6月に1件助成、平成27年度についても予算要望していく予定です。広報ぎふやホームページに助成制度を掲載し、広く周知を図ります。柳商連、市商連に助成制度を説明するとともに、自治会連合会ごとに委嘱している屋外広告物啓発協力員を通して、各地区に周知を行っています。違反広告物のパトロール時に、良好な景観の維持の観点から落書きについても併せて点検を行っています。(市民生活部回答)