【H25.09定例会】③ 医療健康立市におけるMEDICAカード導入の可能性について
▼ 質問(和田直也)
→医療・健康立市におけるMEDICAカードの導入可能性について市長にお尋ねをします。
議場におみえの皆さんは今、財布とか、あるいは、かばんの中にいつも何枚の診察券というのをお持ちでしょうか。内科とか眼科とか歯医者さんとか、あるいは耳鼻咽喉科、接骨院と、それぞれにたくさんお持ちかと思います。それぞれに通院されている皆様には心からお見舞いを申し上げます。
先日、本荘公民館で開催されました防災ボランティア講座でこの質問をしたところ、4枚から6枚の診察券を常に携帯しているという方が出席者の50%いらっしゃいました。こうした診察券は、例えば、歯医者に行けばこの方は奥歯に虫歯がある方だとか、あるいは接骨院に行けばこの人は腰痛のひどい患者さんだなどと、それぞれに電子カルテや、日ごろの、いわゆる町医者としての役割を担っておられるクリニックなどが患者情報を把握しております。しかし、いざ救急車で運ばれるような事態が自分の身に起きたとき、果たして駆けつけた救急救命士に必要な持病の情報や日ごろ飲んでいる薬の情報などを適切に、また、正確に伝えるということは難儀なようにも思えます。また、搬送先の病院において外科に診てもらわなくてはいけないのに、たまたま皮膚科の先生が当直医だったというような事態も考えられます。こうした中で最近注目されているのが岐阜大学医学部の救急救命分野で開発されたMEDICAカードです。このカードには、今お話ししましたように、日ごろの患者さん本人の体の情報、例えば、高血圧ぎみなどの健康情報などがこのICチップに書き込まれており、万が一のリスクの際には救急車から搬送先の病院に搬送されるまでの間に患者さんの情報が的確に伝えられ、必要な医療情報が迅速な救急救命を可能とし、結果的にリスクの軽減につながると、患者本位の救急救命の質の向上として今後の導入が各都市で検討されております。
私はかねてより、これからの時代というのは機能集約とリスクマネジメントの時代だと思っております。例えば、iPhoneなどのスマートフォン1台を持っていれば、最近はそのスマートフォンのカメラの性能が格段に上がっていますので、もうデジタルカメラを持たなくても済むようになってきましたし、あるいはアプリをダウンロードすれば、ありとあらゆることが1つの端末で可能となっています。また、公共交通の分野でもSuica、TOICA、ICOCAといったJR各線のカードも今やどのカードでも乗車可能となっておりますし、駅構内での買い物も可能です。しかし、こうしたカードや端末をいざ落っことしたり、盗難に遭ったりしたら大変ですということで、まさに機能集約とリスクマネジメントの時代がやってきたというふうに思っています。
話をこのMEDICAカードに戻しますと、この機能集約とリスクマネジメントの時代の中で、数ある診察券を今後は集約化をし、患者本位の医療を実現するために必要なサービスを構築していくということは、医療・健康立市を掲げる岐阜市こそ先駆的に導入していくことは大いに検討の余地があるように思います。内閣府の、いわゆる国民総背番号制の仕組みにおいても医療情報は含まれないとの情報を得ておりますが、そうしますと、ますます医療・健康立市というこの都市ビジョンに十分合致すると思います。MEDICAカードの導入可能性について市長の考えをお尋ねします。
引き続きまして、市民病院におけるMEDICAカードの試験的導入について病院長にお尋ねをします。
今お話をしましたMEDICAカードは、大きな基幹病院から地域に密着したクリニック、診療所に至るまで全てに導入されていることが理想的な姿でありますが、しかし、一斉にこうしたサービスを進めるには多額の予算や、あるいは医師会を初め、多くの賛同と協力が必要になります。現在このカードは、愛知県豊田市の足助病院が総務省の支援を受けながらの試験的導入を進めておりますし、また、岐阜県では市立恵那病院、美濃加茂市の木沢記念病院、笠松町の松波総合病院で導入されております。
先月このカードの機能や仕組みを私自身も市内各地で開催しました市政報告会、議会報告会の機会において説明をし、市民の皆様にその導入可能性について御意見を伺いました。あくまでその出席者の皆様からの御意見に限ってではありますが、大半は、ぜひ導入を進めてほしいとか、自己負担でもいいから導入してほしいという前向きな御意見。その一方で、個人情報の漏えいがないよう細心の注意でシステム開発が必要との御意見もいただきました。私は特にこのカードの発行に係る費用は自己負担でもいいから導入してほしいという、こういう御意見をいただけたことは、このMEDICAカードに対するニーズの高さをうかがうには十分な意見だったと受けとめています。
そこで、市民病院長にお尋ねをします。
県内で既にこのカードが導入されております3つの病院の患者総計は約1万3,000人で、岐阜市民病院とほぼ同数となっております。今後ますますこの機能集約とリスクマネジメントの時代が本格化するのを前に、医療・健康立市の最後のとりでと日ごろ市長も口にしております岐阜市民病院においてMEDICAカードの岐阜市モデルを構築をし、将来は市内全域にそのサービスを広げ、ひいては救急救命の質の向上を目指していただきたいと考えますが、試験的導入の可能性についてのお考えをお尋ねします。
▼ 答弁(市長)
→予防医療についてでありますが、スマートウエルネスシティの理念のもとに「歩く」をキーワードにして健康寿命を延伸し、このまちに暮らすだけで健康になってしまう、そういうまちづくりを推進しております。また、医療環境の充実につきましては、地域医療の拠点である岐阜市民病院におきまして、既に西診療棟や玄関棟の完成を終えましたが、今後、最新のがん治療が可能となります高精度放射線治療装置、IMRTを本年度中に導入する予定としております。また、さらに、小児夜間急病センターに加え、休日急病センター及び休日急病歯科センターを市民病院に集約をいたしまして、一次救急医療体制をも整備しております。加えまして、市内の二次病院による休日、夜間の当番体制なども整えるとともに、市民が万が一病気になられたり、けがをされた場合にも安心して生活していただける医療環境の充実を図っているところであります。
さて、その御質問のMEDICAカードでありますが、市民病院における救急搬送件数は年々増加傾向にあります。平成20年度は2,915件でありましたが、平成24年度には3,920件と、わずか4年の間に1,000件ふえているわけであります。5年間で3割増加したということになるわけであります。救急搬送の際には、受け入れる医療機関では患者の情報を迅速かつ的確に把握することが重要でありますし、また、患者御自身も自分のことを正確に伝える必要があるわけであります。
現在、個人情報データを保有するカードといたしましては、岐阜市民カードと住民基本台帳カードがあります。また、近々マイナンバー法による個人番号カードの導入も予定されております。この3つのカード、いずれも医療情報は入らないという状況になっております。議員御指摘のMEDICAカードにつきましては、氏名、生年月日はもちろんのこと、既往症や投薬歴、どんな薬を使ったなどの投薬歴などの情報も入っております。瞬時に多くの患者情報が把握できるため、患者からの情報聴取の時間が短縮され、また、苦痛を訴える患者の皆さんの負担軽減にもつながり、また、現場滞在時間の短縮も図られるなど、患者の状態を迅速かつ正確に判断して、適切な搬送先医療機関の選定にもつながるということで大変有効なものだろうというふうに思います。救急時や災害時の備えとしても大変有効であります。
このMEDICAカードにつきましては、その情報を読み込むためのカードリーダーが必要となります。このカードリーダーにつきましては、既に岐阜市消防本部の全ての救急車及び市民病院も含めた市内の5病院にこのカードリーダーが設置をされております。市民の皆様が健康で安心して暮らせるよう医療・健康立市を推進いたします本市といたしましては、MEDICAカードの導入について前向きに検討するよう関係部局に指示をしているところであります。
▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。
■ 進捗度評価 ・・・ ○ 達成・実現
→昨年度から引き続き、MEDICAカードを導入している病院から現況を聞き取り、状況把握に努めています。平成26年8月から市民病院がMEDICAカードの発行を始めたため、市民病院に設置しているシステムの運用状況について病院担当者から聞き取り、MEDICAカードの課題などについて協議を行いました。その中で、カード入力には想定していたよりも手間と時間がかかるため、カード発行枚数の増加に伴い、入力を専属に行う事務員が必要になる可能性が高いことがわかりました。今後、患者の周知を強化して発行枚数を増やしていく予定です。(健康部・市民病院回答)