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▼ 質問(和田直也)

→2005年3月末に路面電車が廃止されてから、今月でちょうど丸10年となります。当時、路面電車を新たな社会資本として積極的に活用するよう、岐阜市文化センターでの市民ディベート大会の企画など、活動を展開していた私の立場からすれば、廃止は非常に残念な出来事でしたし、路面電車にLRTという新たな考え方を持たせ、都市活性を図る富山市の動きなどを眺めていると、いささか悔しさも残るところです。しかし、いつまでも過去を振り返っているわけにも参りません。先日の総合交通対策特別委員会でも説明のありました岐阜市総合交通戦略については、基本的には応援する立場から、以下お尋ねします。

まず、広域交通についてです。路面電車が走行していた当時、岐阜市には関・美濃方面より、また、黒野・谷汲・北方方面より名古屋方面への通勤・通学を含めて、公共交通による流入人口が見られました。廃止されて10年が経過した今日、関からは東海北陸自動車道を通って1000円の名古屋行き高速バスが運行され、黒野・谷汲・北方方面からは、岐阜駅ではなく穂積駅経由のバスダイヤが主流となり、中核市である岐阜市はスルーされる人の流れがあると言われています。

実際にはどの程度の変化が見られるのでしょうか。またそうした実態をどう分析・評価・今後の対応へ繋げようとしているのでしょうか。企画部長にお尋ねします。

次にBRT計画についてです。Bus Rapid Transit いわゆるバスによる高速輸送システムは、今後の基幹交通としてその充実策に期待をしています。その1つに、周辺市町の延伸についてどう考えているのか。この点についてお尋ねします。

先日、隣接する山県市長さんと懇談する機会がありました。山県市では、市役所周辺にバスターミナルの建設予定があり、現在、下岩崎で折り返し運転を行っています連節バス「清流ライナー」の延伸が期待されています。岐阜市の予算も投入されている連節バスですので、仮に延伸するとなれば、それ相応の応分負担が求められますが、地の利という点からしても、山県市は今後も重要な広域交通パートナーと言えると思います。トランジットセンターの立地も検討されている総合交通戦略において、ぜひ検討課題に加えて頂きたいと考えますが、企画部長お答えをお願いします。

そして、都心におけるトランジットモールについてです。路面電車の存廃でゆれていた当時、社会実験の一環として行われたトランジットモールが、今回の戦略に加わっています。名鉄岐阜駅近辺から柳ケ瀬近辺までの長良橋通り沿いで概ね10年後の実現を目標と伺っていますが、沿線商店主や特に駐車場事業者、警察、道路管理者である国や県との調整、荷さばきの問題など、やるべき課題は山積しています。ただ、せっかく描いた戦略です。世界的な歴史観光都市・京都でも四条通りをトランジットモールにするとの方針が示され、全国からも注目を集めていますように、今年は岐阜市にとって路面電車廃止から10年という節目、そして概ねの実現の目安を今から10年後としているトランジットモールの開設は、ちょうど現庁舎の跡地利用計画が完了する時期とも重なってきます。今後、中心市街地活性化など総合的な観点から、その実現に向けた今後の課題整理と対応方針について、特に地元商店街とどう連携していくのかについて、企画部長の考えをお尋ねします。

▼ 答弁(企画部長)

→1点目の、流入人口等の変化についての御質問にお答えをいたします。
平成17年3月に路面電車が廃止されてから、この3月末でちょうど10年を迎えることになります。岐阜市は路面電車の廃止や市営バス路線の民間バス事業者への譲渡を公共交通を見直す契機と捉えまして、特にバス交通を中心とした利便性の高い公共交通を目指し、幹線、支線、コミュニティバスが有機的に連携した公共交通ネットワーク構築のための取り組みを着実に進めてまいりました。その施策の柱となるのが岐阜市型BRTと市民協働の手づくりコミュニティバスでございます。
BRTは、幹線路線の強化施策として、バスの走行環境、トランジットセンターなど交通結節機能強化及びハイグレードバス停など利用環境向上とあわせ、連節バスなど車両の高度化を一体的に整備するシステムでございます。路面電車など鉄軌道に比べまして、柔軟なルート選定や段階的な導入が可能であるといった長所を持つことから、本市ではこの特徴を最大限に生かした岐阜市型BRTの導入を推進しております。
また、岐阜市では他市町とつなぐ広域バス路線につきましても、国、県及び沿線自治体と連携し、補助金を投入し、維持確保に努めているところでございます。路面電車の廃止により、本市への流入人口及び名古屋方面へ岐阜市内を経由して通勤、通学をされる人口の変化につきましては、5年ごとに実施をされております国勢調査の結果によりますと、路面電車廃止前の平成12年と平成22年とでは同程度で推移をしているところでございます。また、平成23年度に実施をされましたパーソントリップ調査では、路面電車や市営バスの廃止以前と同程度に公共交通が代表交通手段として利用をされております。さらに、JR岐阜駅及び名鉄岐阜駅の総利用者数は、幹線バス路線の利用者数の増加など、さまざまな要因が考えられますが、年間で平成16年の1,720万人から平成24年の1,758万人と、約40万人増加をしており、路面電車廃止後の利用者数が廃止前を上回っているところでございます。
こうしたことから、交流人口の面では全体として対応ができたものと考えておりますが、引き続きBRTの導入効果の検証などを行い、利便性の高い公共交通ネットワークの構築に努めてまいりたいと考えております。
また、BRT導入に当たっては、幹線路線を強化し、これを都市の公共交通軸とし、まちづくりと連携を図りながら集約型の都市構造の実現を目指すため、岐阜駅を中心として放射状の幹線路線にBRTの導入を目指すBRT導入推進計画を策定し、この計画に基づき順次導入を進めているところでございます。
御質問のBRTの山県市への延伸についてでございますが、BRTの第3段階といたしまして、平成25年度末に長良橋通りのJR岐阜駅から下岩崎バス停間にBRTを導入をしておりますが、導入に当たりましては、関係機関との協議を十分に時間をかけて行い、走行環境及び利用環境を整えるなどの対応をしてまいりました。
議員御提案の山県市内へのBRTの延伸につきましては、バス幹線道路であります旧国道256号東島高富線は狭隘で、本市内区間での停車バス停が設置できないことなどの物理的な課題があることや、運行所要時間がかかり、限られた車両数では運行本数が確保できないなど、運行される事業者においても多くの課題があると考えております。
一方で、広域公共交通網の形成は本市と周辺市町の経済活動にもプラスの効果が期待されますことから、周辺市町と水平補完や連携を図ることで、圏域の人口を流出させない地方創生の視点からも、広域公共交通ネットワークについて対応していくことが重要であると考えております。
いずれにいたしましても、岐阜らしさを生かした広域公共交通のあり方について、周辺市町のみならず、岐阜県とも適切な役割分担により、今後、検討すべき課題であると考えております。
次に、次の10年を見据えた交通政策についてでございますが、第2期計画の総合交通戦略では、トランジットモールはBRTを軸とした公共交通軸の形成とあわせ、中心市街地の活性化に寄与する持続性の高い公共交通網の構築と集約型都市構造の実現に向けた連携施策として計画に盛り込まれております。将来にわたり持続可能な地域公共交通を構築していくため、まちづくりとの連携からも総合的かつ戦略的に取り組む必要があることから、トランジットモールなど次世代にふさわしい交通施策について検討してまいりたいと考えております。
今後は、既に導入が進んでおります姫路市や京都市など、先進都市の事例の研究を進めるとともに、平成15年度に実施をしました社会実験の結果なども踏まえ、トランジットモールについては地元を初め、市民の皆様に丁寧に説明をするとともに、公共交通の大切さを訴えるなどの意識の醸成を図ることなどを考えてまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、公共交通施策と地域のまちづくりとの連携を十分に図りながら進めていくことが大切と考えております。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→広域公共交通ネットワークについては、県地域公共交通協議会の分科会において、県の主導のもと個別路線について周辺市町と協議を行っています。トランジットモールについては、平成28年度に社会実験を実施するための予算を計上しており、商店街や関係機関と十分な協議・調整を図り進めていきます。(企画部回答)

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