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▼ 質問(和田直也)

→国連が2011年から行っている「世界幸福度調査」で、世界一の経済大国アメリカは第17位、2位の中国は第93位、3位の日本は、第43位という結果が出ています。幸福度トップを飾ったのはデンマーク、ノルウェー、スイス、オランダ、スウェーデン、といずれも上位は北欧諸国です。ステレオタイプではありますが、物質的豊かさが必ずしも幸福度と関係しているとは限らないと思う中、思えば、私たちが「あ、幸せだ」感ずる時はもともと多様です。「美味しいものを食べている時」が幸せだと感ずる人、「友だちや家族と旅行をしている時」が幸せだという人、「スポーツやカフェなどで趣味を楽しんでいる時」が幸せだと感じる人、実に多種多様です。そう考えますと、季節は冬に入ってはいますが、「秋」と季節は、スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋と言われるように、実に人々の営みが集約される季節であります。このように、時間軸で区切り「秋」が人々の営みが集約される季節だとすれば、空間軸で人々の営みが集約される場所とはどこかと言えば、私はまさに「中心市街地」ではないか、と思います。

さて、こうした多様社会の中で同時に訪れている現代の情報社会において、その代表的社会資本は「人そのもの」と言われています。先般、増田レポートとして注目された報告書でも記述がありますが、東京に出て行った若者の約30%が故郷・地元に帰りたいという思いはあるものの、働く場がないから帰らない、という実態があります。先日私も視察してきましたが、最近、大都市部では「コワーキングスペース」なる新たな知的創造の場が遊休不動産を活用して開設され、ネットカフェのような、図書館のような、セミナールームのような、まさに新たなビジネスチャンスを伺う若者たちが集い、頭脳労働・知的創造を行う場として活動が始まっていることに注目をしています。まさに、これからの地方都市には「創造的な場を創ろうとする人=主体的市民への投資」が大切ではないかと思うのです。

岐阜市では、この春まで「中心商店街活性化プロデューサー」を民間から採用し、4年間の成果として、空き店舗・空きビルを活用してリノベーションを行い、美殿町に「まちでつくるビル」がオープンしました。「つくる」をテーマに多くの若きクリエイターが集まり始め、「サンデービルヂングマーケット」という新たな市場も定期開催されるようになっています。大変意義ある成果を残されたと思います。ただ惜しいことに、行政側においては、こうした成果を土台にした次の一策、すなわち新たなテーマでの採用枠の提案が見られません。

世界幸福度ランキングで上位に位置している国の特徴は、「多様な選択肢が社会の中に多く存在していることと、社会や地域で自分が役立っているという実感があるかどうか」がそのポイントのようです。そして、情報社会での頭脳労働・知的創造の現場では、時間的・空間的・精神的な「ゆとり」が求められます。中でも、都市における空間的ゆとりとしての「広場」の重要性は、まさに先ほどもふれましたように、柳ケ瀬を中心に展開される数々のイベントを眺めていても大変重要な要素と言えると思います。まさに、多様な選択肢を提供する、場をつくる人への投資が必要です。

そこで市長にお尋ねします。中心市街地活性化プロデューサーをはじめ、多様な選択肢のある中心市街地形成のための中間支援を担う人への投資という事業は、商店街がその人選に加わる形で、まさに地域と手を携える形で、新たな都市創造に引き続き期待されており、私はまだまだ形を変えながら継続すべき事業だと思いますが、市長の考えをお尋ねします。

▼ 答弁(市長)

→まず1点目ですが、民間からのプロデューサーを今後とも活用したらどうかという御質問であります。
まず、中心商店街活性化プロデュース事業でありますが、これは今御指摘があったように、平成22年から25年までの4年間、中心商店街活性化プロデュース事業として実施をしたものであります。商店主の皆さんへの販売促進の指導、あるいは地権者からの遊休不動産の相談、空き店舗を埋めるための出店者の発掘など、地道な活動をいろいろと行ってもらいました。その成果の代表的な事業としては、空き店舗解消のための空き店舗ツアーであるとか、あるいは美殿町のまちでつくるビルプロジェクト、これは4階建てで9区画あるようでありますが、これは現在全て入居済みだそうです。また、周辺の空き店舗の減少あるいは人のにぎわいにつながったんではないかと、こういうふうに考えています。
この4年間にわたるプロデューサーの活動が商店主同士をつなぎ合わせ、また、商店街が抱える問題についてそれぞれが議論をする、そんな風土も生まれてきたということで、これらの成果を踏まえて、担当部としては商店街において自立的に活動する動きが認められ、今後自発的取り組みが行われるようになったと判断したことから、昨年度でこのプロデュース事業を終了したと、こういう報告を受けているところです。
行政の役割というのは、民間の皆さんの自発性あるいは知恵や工夫を引き出すためのきっかけづくりでありまして、もう申し上げたように、4年間を終えてその目的が達成されたと判断したんだろうと、こういうふうに思っています。このきっかけづくりの事業は終了はいたしましたが、今後とも必要に応じ、ありとあらゆる側面支援を行っていくという体制をとってもらおうというふうに思っています。
さて、御提案の今後ともプロデュース事業を続けたらどうかということでありますが、前回の議会においても商店街みずからのテーマを設定して大変成功しています香川県の高松市の丸亀商店街の例をお話ししました。そのときに大変に印象に残っている、大変成功した例ですから、全国からいろんな方がそこを訪問しておられますし、私も二度ほど行ったわけですが、そこで印象的な言葉が頭に残っています。そのTMO・タウン・マネジメント・オーガニゼーションをつくっておられる、いわゆる民間の方々でありますが、この人たちの言葉でこんなことがありました。行政にはお金さえ出してもらえればいいと。口や知恵は我々が出すから口は出してほしくないと、こういうふうに言っておられたのが大変印象的でした。これはまさにその人たち、民間の人たちが定期借地などを使って大きな成果を上げておられました。つまり民間の人たちがいかにして自発的に知恵を出し、自発的に発展をしていくかということを支えるのが行政の役割でありまして、これを永遠に支えていくということではなくて、自発的に動くようになった時点で行政が引いて側面支援に回るという、こんな役割ではないかと、こんなふうに思ってるところです。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→平成27年2月に中心市街地活性化基本問題検討部会を設置しました。平成27年度には3回開催しています。検討部会からの提案で、2期岐阜市中心市街地活性化基本計画の記載事業に柳商連が事業主体の「サンデービルヂングマーケット」ほか3事業を追加しました。岐阜市にぎわいまち公社の活用として、中心市街地整備推進機構である岐阜市にぎわいまち公社の事務所を平成27年8月に柳ケ瀬へ移転し、より積極的に関係者間の連携・調整を図るための仕組みや場づくりに関わっています。(まちづくり推進部回答)

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