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▼ 質問(和田直也)

→僕は今32歳ですけれども、子どものころは親に連れられて週末はよく柳ケ瀬で買い物をして、お子様ランチを食べたという、そんな幼いころの楽しい思い出があります。だからこそ、今の柳ケ瀬の実態を見て何とかしたいという強い思い入れがあります。しかし、それは自分よりも5つないし10歳年が下がりますと、大きな意識の変化が見られます。85年から90年代に生まれた今の20代の多くは、大店法の改正に伴う郊外型モールの進出が大きな影響かと思いますが、消費活動の拠点がそちらへ移行した後の世代であります。したがって、幼いころに柳ケ瀬を訪れた記憶がほとんどなかったと。その結果を象徴する出来事がこのところ相次いでおります。
それは、近年、柳ケ瀬周辺で盛んに開かれる子ども向けのイベントでのことです。イベント営業のために幼稚園や保育園に出かけますと、そこで働く保育士の先生方というのは20代が多いわけですけれども、「柳ケ瀬っていうのは子どもたちが行っても大丈夫ですか。」と、「安全ですか。」という最近ではそんな答えが返ってくるのです。また、10代に至れば、「柳ケ瀬というところにこの前初めて行った。」と、「商店街に行くのは遊園地に行くような感覚だ。」と言うのです。要するに、柳ケ瀬というのは日常生活のどこにもなかったという世代が、あと十数年をしますと、社会の発言力をどんどんと増してくる世代に突入するということであります。今の柳ケ瀬を見て寂しいとか、何とかしたいという、そういった思い入れを持つ世代との明らかなギャップだと思います。こうした実態を放置することは名のとおり都市の衰退を意味しますので、思い入れのある、やる気のある世代が活動しやすい環境整備というのが急務だと思うのです。
幸い先ほども紹介しましたように、まだ中心市街地に思い入れを持って活動を展開しようとする、あるいは、しようとする担い手はいます。また、お店を持ちたいとか、事業を始めたいと具体的に計画される方もいらっしゃいます。しかし、残念ながら、いざ始めようということになりますと、家賃の壁とか初期投資の壁とか、本当に難問はさまざまであります。
一方、このところ地元商店街の皆さんからは、路線価の下落の一方で、家賃が下がらない実態を嘆く声をよく伺っています。実際、今から3年前の平成21年比で見ますと、柳ケ瀬、神田町、玉宮町、駅周辺のこの下落幅というのは、高いところでは四、五万円、低いところでも2万円近く下落をしております。御案内のとおり、固定資産税の税率変更は3年間の据置期間が設けられておりますが、下落幅が極端に激しい場合には価格に合った税率に修正することができる時点修正率というのが適用されております。
ちょっと見えにくいですけども、──このようにですね、バブルが崩壊した以降、岐阜市でも適用されております。にもかかわらず、この家賃が高いという指摘がずうっと聞かれるのはなぜでしょうか。そうした課題を抱えたまま家賃補助をしても、結局のところ、期限が過ぎたら出ていってしまうという懸念はぬぐえないと思います。実際、商工観光部もこうした問題意識を持っているはずです。
まずは実態に合っていないと思われる家賃の実態調査というのをきちんと行って、地権者に対する意思疎通を図ることが大切ではないかと思いますが、商工観光部長にはその点について行う意思をお尋ねをします。
そして、もう一つ、市商連、柳商連など、地元商店街の皆さんの声を踏まえて今回提案しますのは、初期投資支援制度の確立です。
スケルトンの多い今の空き店舗の実態を踏まえますと、やる気のあるまちの担い手に対し、事業を開始しやすい環境を提供するというのは、1つの空き店舗対策と言えます。初期投資支援は、例えば、支援した分の返済義務期間というのを設けるなどの条件整備をすることで、ここで根をおろして頑張ろうとの担い手の意識形成にも直結します。家賃補助期間が過ぎたら出ていってしまうというリスクの残る現行制度よりは、実効性の高い仕組みではないかというふうに考えます。
実際この制度を運用しております近隣市町としては豊田市であるとか金沢市、また、県内だと大垣市がありますが、これらの中には生鮮食料品店舗にはかかる費用の上乗せをするなど、手厚い支援に乗り出しているという事例もあります。
空き店舗対策の一環として初期投資支援の制度設計に着手してはどうか、この点についての商工観光部長のお考えをお尋ねします。

▼ 答弁(商工観光部長)

→中心市街地の商店街に新たに出店しようとする方にとって、出店時にかかるコストが経済的にも心理的にも大きな負担となっているのは事実であると思います。しかし、初期投資に対する補助につきましては、個人の資産形成に税金を投入することの是非や補助金の返還が生じる場合の取り扱いなど、検討すべき課題がございますので、他都市の補助制度の把握とともに、商店街関係者や実際に出店を希望されている方々から御意見をいただきながら、中間支援組織を絡めた補助スキームのあり方など諸課題の整理を進め検討してまいりたいと考えております。
次に、民間施設における多目的トイレの整備支援についての御質問にお答えします。
民間施設における多目的トイレの整備につきましては、岐阜県福祉のまちづくり条例及び同規則の中で、一定規模以上の公共的施設について整備基準に適合させる努力義務を課しているところであり、本市の中心的な商店街であります柳ケ瀬エリアでは、柳ケ瀬あい愛ステーションや百貨店など、4カ所に多目的トイレが設置されております。
今後、中心市街地の商店街において、この整備基準に適合させる必要がある施設で多目的トイレを整備する場合の支援につきましては、先ほどお答えいたしました空き店舗出店時の初期投資に対する補助スキームのあり方と密接に関連いたしますので、あわせて検討してまいりたいと考えております。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→過去、改修費も補助対象経費としたモデル事業を3年間実施しましたが、補助した7店のうち5店が退店し、返還時の取り扱いなど様々な課題が原因で現在の家賃補助のみの制度となっています。他都市の補助制度の仕組みをまとめており、過去の取り組みで明らかになった初期投資に関する諸問題の解決策を含め、商店街関係者とも協議しながら制度の見直しを検討していきます。(商工観光部回答)

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