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▼ 質問(和田直也)

→私が言うまでもありませんが、国家の3要素、すなわち領域、人民、主権と、これを守り続けていくことは、国や地方にかかわらず、政治を預かる職の者にとっては基本であると思います。
今回、東京都の石原知事が表明された尖閣諸島の購入に関する一連の行動については、1週間で7,000万円、6月14日、先週ですけれども、その時点で総額11億8,000万円と、間もなく12億円の大台に達するほど全国的に広がりを見せております。私も少額ではありますが、協力をさせていただきました。
都知事いわく、「ある田舎のおばあさんからの手紙で、都が開設しているみずほ銀行の口座については、うちの田舎にはみずほがないもんだから、隣の隣の隣のまちまでバスで1時間かけて振り込みに行ってきたというもんだから、ゆうちょも開設した。」とか、また、「一連の行動は東京都が乗り出すことはお門違い、筋違いと。これも至極真っ当、しかし、国がやらないものだから東京都がやると、国が動くならいつでも国に渡す。」というふうに先日の衆議院決算行政監視委員会でも述べておられます。
地方から一石が投じられた今回のこの問題は、単に島の問題にとどまらず、地域を守る地方自治体に対しても大きな問題提起をしているのではないかと思います。
例えば、温泉源、これは北海道の事例で全国的にも有名になりました。そして、地下水、我が国の豊かな水資源に恵まれた領土、これが外国資本によって次々と所有権の取得に向け合法的に手続が進められております。合法的にというのが残念なのですが、国会議員の間でも最近ようやくこうした動きを規制する立法研究が進んでおります。一方、北海道議会が水資源に関する保全条例を制定したように、今後は地方自治を預かる都道府県あるいは市町村においても領土の資源を守るという視点が必要ではないか、そんなことも考えるわけであります。
特に我が岐阜市は豊かな水資源、その頂点に位置していると言っても過言ではないぐらい、脈々と引き継がれた清流長良川の恩恵によって生かされています。この地下水をこれからどう守っていくのか、広く大きな目で大所高所からもきちんと眺めて、よく研究、検討をしていくことも必要ではないか、そんなふうにも思います。
いずれにしましても、国益を守るという国家の大前提について地方から一石が投じられた今回の事例について、8万件を超える多くの賛同の声が寄せられていることをよく理解をしていく必要があると思います。市長は、これら国を守る、地域を守るという基本をどのように考えておられますか、お尋ねをします。

▼ 答弁(市長)

→東京都の石原知事は尖閣諸島の一部を購入するという方針をお出しになりました。石原知事は国政に長くかかわられたわけでありまして、その経験からいってこれまでの国の対応については何か感ずるところがあってその行動に走られたんだろうと、こういうふうに思います。石原知事は今申し上げたように、長年携わられたということで国政への識見もしっかりと持っておられますし、情報発信力もあると、石原知事の発言はかなりマスコミによく取り上げられるという、そういう力などを背景として今回の行動をおとりになったんだろうと、こういうふうに思います。御指摘のように、多くの人たちが多くの寄附をしておられるというのも事実であります。
そこで、私についての御質問であります。
まず、私というのはどういう立場であるかと。細江茂光個人という立場というよりは、私は、地方自治法第147条に言っております当該普通地方公共団体を統括し、これを代表する立場だというふうに私は定められております。つまり地方公共団体である岐阜市を代表する立場にあるわけでありまして、私自身の発言、行動というものは、その市民を代表しているということになるわけであります。
一方で、地方自治法第1条の2というのがあります。この中では地方公共団体と国の役割について述べられております。まず、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」というふうに規定されています。地域における行政を担えと、こういうふうに書いてあるわけであります。同じく、地方自治法第1条の2の中において国の役割についても述べられています。一方で、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、あるいは全国的に統一して定めることが望ましい事務などについてこれを行うことというふうにされております。つまり国というのは外交や防衛など国家の存立にかかわる事務を担い、地方は地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うんだと、こういう役割分担が地方自治法の第1条に定められているわけであります。
先ほど申し上げたように、私自身が岐阜市を代表する立場であるということ、また、この同じ法律の中で国と地方の役割についてしっかりと定められているということなどをしんしゃくいたしますと、地方公共団体の長である私の法律上の責務は、地域における行政に全力で取り組むということになろうかと、こういうふうに思います。
このように国家の領土を維持し守ることは国の重要な責務でもあります。当の石原都知事も国会の参考人招致において、本来は国がやるべきであると、地方が行うのは筋違いであるというふうにも言っておられます。まさにそのとおりでありまして、国が法に定める国の役割と責務に基づいてしっかりと対応していただくことを心から望むものであります。

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