gikai_H23_09

▼ 質問(和田直也)

→次に、都市開発事業手法における公共交通の位置づけについて武政副市長にお尋ねをします。
一昨年あたりから都市建設部内において岐阜市中心部の空洞化を何とかすべく、まばらに広がる小さな土地、あるいは点在する駐車場などについて、今後はある程度まとまったものにまとめ上げ、その上で再開発を打ち込むと、そんなモデルを国と協議しながら考えていきたいと、そんなお話を伺っておりました。今議会において、この構想がいよいよ予算化されたことは今後の可能性に大変期待をしているところです。
そこで、どの自治体もまだ行っていないと、岐阜市初のモデル事業になるということに期待をしながら、次の点についてよく位置づけを考えていただきたいと思います。
それは、この質問の表題にもあるように、公共交通の位置づけについてです。
今日、中心市街地活性化が議論されるとき、必ずと言っていいぐらい公共交通のあり方が取り上げられております。路線バスや路面電車、タクシーも含めて、比較的中距離移動に快適な都市内及び隣接市町を結ぶ公共交通は、車を中心とした分散型のまちづくりへの見直しから集約型のまちづくり、とりわけ、その集約性をもたらすものとして大いに見直されていることは言うまでもありません。
けさのNHKの特集でも地域のみどっりこバスの紹介がありましたけれども、地域のコミュニティーを生み出すという意味合いも深く持っているというふうに思います。大変この見直しが進んでいます公共交通について、今回計上されております都市開発事業手法の中においても、ぜひこの点を考慮していただきたいと思います。
例えば、先般も今回受け入れております議員インターンシップの大学生と実態調査を試みたのですが、中心市街地活性化基本計画の枠内には月決め駐車場を含めて、実際には相当数の有料駐車場が点在し、その料金も平均額が60分で250円程度と、まあ比較的低価格に抑えられておりますが、一方では、それでも多くの中心部の事業者や住民は、いまだに駐車場が足らないから寂れてしまっているという指摘をされます。私は中心部の空洞化というのは駐車場の問題だけではなく、ほかにもそもそもの魅力向上や誘導的な都心回帰、そのための環境整備、そして、その中には公共交通も入るというふうに思いますが、さまざまな課題があるように思います。
いずれにしましても、税金対策という側面もあわせ持ちながら、とりあえず駐車場にしておこうという地権者の心理が働いて、結果的に中小規模の駐車場が点在する町並みが広がってしまっていることについて一石を投じていただきたいというふうに思います。車社会をそのまま放置することなく、公共交通中心型の岐阜づくりという側面をぜひ研究対象に加えていただきたいと思います。
この政策の発端は富山市のかつての副市長であるということを先日教えていただきましたが、折しも富山市はゴマ塩の名のごとくまばらに点在するこの中心市街地の空き地対策と同時に、LRTを初め、公共交通の魅力向上、それにリンクした形で都心回帰を同時並行で進めている代表的な都市であります。今後の岐阜市の公共交通をどうしていくのかという点も踏まえ、また、国の動向も踏まえて武政副市長のお考えをお尋ねをします。

▼ 答弁(副市長)

→岐阜市におきましては、中心市街地におきましてまちなかの居住人口の増加を図るために、岐阜スカイウイング37などの市街地再開発事業に積極的に取り組んでおりますが、これまでの再開発手法ではまとまった地区全体の地権者の合意形成を得るまでに非常に長い時間を要しているのが現状でございます。
今回予算審議をお願いします都市開発事業手法検討につきましては、青空駐車場や戸建て住宅が混在する地域におきまして、多様な権利者の意向に柔軟に対応しつつ、四、五階程度のいわゆるげた履きビル、1、2階を飲食店や商店、3階以上を住宅とするような建物を整備するための都市開発事業手法を検討するものであります。この手法を少し詳しく申し上げますと、中心市街地ではさまざまな用途や敷地形状、さらには、さまざまな土地利用の意向のある権利者が混在をしております。引き続き戸建てに住みたい方、あるいは共同住宅に住んでもよいと考えておられる方、当面駐車場の経営を継続したいという方、あるいは駐車場をやめてビル経営等の土地活用の意向を持っておられる方、さまざまな方々がおられるわけでございます。そうした中で同じような意向を持つ権利者の権利を集約するために、例えば、土地の集約化、共同化を行うための基盤整備事業であります土地区画整理事業と、それから、良好な都心居住施設整備を行います建物を建てるための共同建てかえ推進事業を一体的に実施するような事業を想定をいたしまして、なおかつ岐阜市において実現可能な規模での実施に向けた、そのための課題を解決しようとするものでございます。
今回検討を行う手法の実現のためには、権利者間の調整とこれをスムーズに進めるための法制度上、あるいは事業実施上の公共的な支援が必要であると予想されております。今後、制度を所管します国との合同研究会を開催しながら検討を進めてまいります。
中心市街地でゴマ塩のごとく点在します駐車場の利用状況、利用密度は比較的低くて、その一部の、例えば、建物用途への転用は可能であるというふうに考えておるとこでございます。そのための土地集約に当たりましては、特に引き続き駐車場を経営したいという方々の権利をできる限り幹線道路から利用しやすい位置に誘導するということが肝要であるというふうに思っております。幹線道路沿いに駐車場を集約しまして、幹線道路に囲まれた街区の中には自動車が進入しないような都市構造にできていけばですね、歩行者や自転車と自動車の錯綜による事故の防止を図ることができるというふうに考えております。
また、都市機能を集約していくことによりまして、需要がまとまってくることが予想されますので、バスなどの公共交通の利用が促進され、歩きを中心とした潤いやにぎわいのある中心市街地の空間が創出されるものと期待しているとこでございます。まちなかのにぎわいが創出されることによりまして、例えば、郊外部からもバスを利用して中心市街地を訪れる人が増加する、あるいは、まちなかの居住人口そのものが増加することによって、公共交通を利用して移動する人がふえる、すなわち公共交通の採算性が改善されるということも期待されるわけでございます。
こういった観点からも今回の都市開発の手法検討におきましては、公共交通の視点も取り入れて検討を進めるよう関係部局に指示をしてまいります。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→平成23年度、交通の関係部署も含めた中心市街地における都市開発事業手法に関する庁内プロジェクトチームを設立しました。青空駐車場や小規模住宅が混在する等、玉宮地区が抱える課題を関係部署が再確認しました。

→平成24年度には、権利者に玉宮地区の課題を再確認してもらうと共に、小規模な敷地の集約と共同住宅の建設に関する意向調査を行いました。

→平成25年度には、共同化に関心がある権利者に共同化のモデルプランと、行政からの支援を前提とした事業収支の試算を説明しました。

→平成26年度には、事業地区の絞り込みと、それに合ったモデルプランの修正を行い、権利者の理解を深めています。

→こうした都市開発事業手法を進めることで、まちなかの居住人口や公共交通を利用して異動する人が増え、公共交通の位置付けの再検討につながるものと考えています。(都市建設部回答)

Unknown