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▼ 質問(和田直也)

→私は、この新庁舎の建設には賛成の立場です。これまでも、議決を含めて応援の立場でかかわっております。であるがゆえに、このたびの岐阜市新庁舎基本設計策定は、市長の方針を十分に理解した上で今後の議決に臨むためにも、率直にお尋ねしたいというふうに思います。
質問は、先般行われましたパブリックコメントで寄せられた御意見、そして、議員依頼調査により御提供いただきました佐藤総合計画と岐阜市との間で行われたこの定例会議の議事録、この2点の資料に基づきまして、以下、5点お尋ねをしたいと思います。
1つ目、建物の形状についてです。
昨年6月に行われた第1回目の会議録によりますと、プロポーザルのときに設計業者が技術提案書で示した9階建ての原案に加えまして、12階、14階、16階、18階、20階の6案から絞っていく方針としたいと、新庁舎建設課が設計業者に求めております。その理由、最初の段階で倍の高さの案まで提示するよう求めた理由についてお尋ねをいたします。
2点目、資料の公表についてであります。
18階建て、地上80メートルは、建築基準法の規定による高さ60メートルを超える超高層建築物となり、大臣認定が必要であり、非常用エレベーターなど原案にはなかったコストが発生いたします。昨年のプロポーザルでは、実際に応募のあった4者のうち2者は高層庁舎を提案したと伺っておりますが、その2者は落選をし、一方で、低層庁舎を技術提案書で示した佐藤総合計画は設計者として選ばれながら、その後、高層庁舎に大幅変更されたのでありますから、発注者である岐阜市は、低層から高層に変わり、それを最適解と説明する上でも、イニシャルコスト、ランニングコストについて6案の比較表を公開する必要があると思います。
また、これはパブリックコメントからの抜粋でもありますが、レンタブル比、すなわち床面積に対する事務スペースの比率に対しても、執務スペースの十分な確保、将来の組織再編、機能性という点で検討された9階建ての原案から18階建て案までの6案の比較表がオープンにされなくてはいけないのではないかと。あるいは内部検討の結果、昨年の7月に市長に提示されたとする10階、14階、18階の3案の比較表でもよいと思いますが、私もこの間さまざまな全国の新庁舎建設のプロセスを視察、拝見するに、こうしたプロセスを公開するということは、何より透明性が確保され、最適解とする明確な理由づけにもなると思いますので、とても有意義なことではないかと思います。
資料の公開について、お考えをお尋ねしたいと思います。
3点目は、外観の色彩についてです。
外観の色彩は、メディアコスモスの方立、すなわち窓枠とか、外壁のことですけども、その茶色と同系色にする必要はないので、白系統の明るい色彩とすることとの市長の要望に対して、了解しましたと記述されております。
色彩は、周辺との景観調和の点で極めて大切なテーマです。メディアコスモスへの配慮が重要、あるいは周辺との景観調和が重要と説明される中で、市長が白系統がよいと考えた理由を教えてください。
また、新庁舎の外観が白系統でもってメディアコスモスに配慮されたとするならば、それをベースに景観審議会を開催、あるいは佐藤総合計画が提案するように、今後の実施設計の段階では、市民の皆様とのワークショップも開催し、オープンな場で、本当に白系統でいいかどうかきちんと検証する場を設けることも有意義ではないかというふうに思いますが、お考えをお尋ねします。
実際、秋田市など全国の新庁舎建設のプロセスでは、庁舎の形状あるいは色彩については、幾度もシミュレーションを行ってその過程を公開しております。
検証する場の設置についてお尋ねをします。
4点目は、周辺の景観行政についてです。
まちづくり景観課がバイブルとする岐阜市景観計画でありますが、新庁舎建設予定地から北東へ200メートル、300メートルの場所は、金華地域の歴史的町並みを保護するために、高さ制限20メートルと上限を課しております。これは、目で見える距離だというふうに思いますが、程度問題とはいえ、高さ20メートルに指定する区域から一歩出れば、最低80メートルの高さまでは建ててもよいという事例を今度の新庁舎で示すことになりかねませんが、本当にこうした事例を未来の景観行政に向けて許していいかどうか、懸念が拭えないところです。建設予定地の京町地域においても、大切な歴史的町並みがたくさん残っております。
もう少し、今後の景観行政、特に高さへの配慮が必要ではないかと思います。例えば、まちなか居住政策でまちなか居住重点区域、その周辺を促進区域とするように、高さ20メートルの規制区域から周辺500メートル区域は四、五十メートルまでなど、未来の岐阜市の都市景観を段階的に構想する準規制区域を新たに指定し、バランスのとれた景観形成が必要ではないかというふうに思います。
私は、高層ビル全てがだめと言ってるわけではありません。あくまで司町というこの歴史的町並みに極めて近接する場所で建設する高層建築物のあり方についてお尋ねをします。
パブリックコメントでも、新庁舎の形状についての声が非常に多く、中には未来の岐阜を担う中学生からも高層庁舎に心配する声が寄せられております。市長も行政部長も、従前より高層化については市民の皆様から懸念の声が寄せられており、十分に配慮した設計にしておくというふうに、この場所で答弁を重ねておられます。準区域の新設については、ぜひよろしくお酌み取りいただき、市長の考えをお尋ねしたいと思います。
5点目。
内部検討の結果、昨年7月に市長に提案されたのは、先ほども言いましたように、10階、14階、18階の3案だと記載がありますけれども、最終的に18階が最適解とした理由について、ただいま述べましたコストという点と、メディアコスモスだけではなく、もう少しフェードアウトして眺めた周辺との景観調和の両面から、市長として語っていただきたいというふうに思います。
いずれにしましても、初当選の折から市長は、行政は究極のサービス業であるというふうに選挙戦のキャッチコピーで使われております。とても重要な考え方であり、私も共感するわけですが、まさにこうした理念を持つリーダーとして、ぜひ百年の大計とするこの新庁舎の建設については、今回の設計に至った説明責任を十分に果たしていただきたいと願うところです。
新庁舎については、以上、5点お尋ねをしたいと思います。

▼ 答弁(市長)

→基本設計がいよいよ終わりまして、実施設計に進む段階に参りました。新庁舎建設事業につきましては、さまざまなパブリックインボルブメントの取り組みを行ってまいりましたが、市民の皆様からは約1,800件もの御意見もいただき、また、加えて、専門家の方々や、また、議会の皆さんの御協力によってこの基本設計がまとまり、実施設計に進むことができたということについては、この御協力に感謝を申し上げたいというふうに思います。
今いただいた御質問5点ありましたが、まあ、この質問については私よりも担当部長のほうが詳細の内容を承知しており、正確な答弁ができるんではないかと思いますが、担当部局からの報告に基づいて、私から簡単に、簡潔に答弁を申し上げたいと思います。
まず、新庁舎の建設につきましては、昨年の5月にプロポーザル方式によって設計事業者を選びました。それで、本格的に基本設計作業に着手したわけであります。かねてから何度も申し上げておりますように、このプロポーザル方式といいますのは、設計図や外観、意匠などの、いわゆる設計案を選ぶコンペ方式とは異なりまして、事業の受注者として最もふさわしい事業者を選ぶ方式であります。すなわち、プロポーザルの際の提案はあくまでも事業者の能力、あるいはノウハウなどの審査に用いるものでありまして、それをそのまま採用するものではないわけであります。設計事業者選定後、さまざまな観点から検討する必要があることから、設計事業者に対して6つの提案をするようにお願いをし、その提案を受けて検討を始めたというふうに報告を受けております。
それから、2点目の、コストやレンタブル比を公表するべきではないかとの御質問でありますが、まあ、この6案につきましては、大まかな外観、そして、その立面図や平面図の提案を受けたのみでありまして、コストについての提案は全くないわけであります。執務室と設備室の比率でありますレンタブル比でありますとか、などなど御指摘のさまざまな数値につきましては、これはあくまでも詳細な設計、つまり実施設計が完成して初めて計算できるものでありまして、私どもの手元には、そういうものは持ち合わせておりません。
それから、新庁舎の外装色についてでありますが、設計事業者からさまざまな外装色の提案を受け、これらについて多角的に検討を重ねて総合的に判断したものであります。なお、外装の色にとどまらず、建築の意匠でありますとか、あるいは施設の配置などを総合的に判断するに当たりましては、既に景観アドバイザーを初めとする専門家の皆様方にも意見を伺っております。
今後も引き続き、さまざまな知見をおかりしながら、事業主として責任を持って決定をしてまいりたいと考えています。
4点目の、景観行政への御質問であります。
新庁舎の建設地は、御存じのとおり、地域商業地であります。御指摘の、岐阜市景観計画において指定された高さ制限のある景観計画重要区域、これは金華地域が一体となっておりますが、これにつきましては、地元の皆さんと協議をし、同意を得て指定をしているものであります。私どもは、この市役所庁舎については地域商業地であるという状況から、現行の関係法令に基づいて適切に対応していきたいというふうに思います。
なお、準規制区域などにしたらどうかという、今お話がありましたが、憲法第29条に財産権、これを侵してはならないという条項があります。まあ皆様、私人の財産権ってのは大変重要でありまして、安易に制限をしてはいけないわけでありまして、この制限に当たっては慎重な対応をすることが必要であるし、また、地元の皆様方の御同意なども必要ということでありまして、私どもが上からかぶせるということではないわけであります。
最後の、5点目の御質問でありますが、新庁舎の建設事業に当たりましては、パブリックインボルブメントを重視してきてることは御存じのとおりでありまして、平成26年から計29回に及ぶ市民説明会を開催いたしました。基本設計の作業におきましても、市民ワークショップ、あるいは障がい者や高齢者、子育て世代、さらには、外国人の方々との意見交換会なども行いました。また、市民モニターアンケートなど、あらゆる機会や手法を用いて丁寧に皆さんの御意見をお伺いするとともに、都市景観や緑化などのそれぞれの専門家、あるいは景観アドバイザー、さらには、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の設計者である伊東豊雄さんなど、幅広い分野の皆様方から知見をいただいております。
また、基本設計案は、「ぎふメディアコスモス」からの景観、日照、高度な防災拠点機能、また、市民の皆さんの利便性のための総合的ワンストップサービス、あるいはバリアフリー、ユニバーサルデザインなどを考慮して取りまとめたものであります。この基本設計案は、当地に建設いたします市庁舎として満たすべきさまざまな要件を最もすぐれたバランスで充足をしており、41万人の岐阜市民の最大幸福につながる全体益を実現する最適解と考えており、今後、これに基づいて実施設計に取り組んでいく予定であります。
いずれにいたしましても、議員のようにさまざまな、世の中には多種多様な意見、主張があり、それはそれで大変世の中を活性化する、まあ、もとになるわけでありますが、残念ながら、必ずしも常にみずからの思いどおりになるというわけではなく、むしろ思いどおりにならない場合のほうが多いわけであります。
私は、ことしの行財政経営に託す思いとして、「繋」という一字を掲げました。これは、今を生きる我々だけのことを考えるのではなくて、常に岐阜市民の未来、あるいは将来の全体益につながる決断をしていかなければいけないという使命があると考えたからであります。新庁舎建設事業も、本市を未来、将来につなぐ重要なプロジェクトとして、大局観を持って着実に事業を推進していきたいと意を新たにしてるところであります。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

→質問から概ね1年後をメドに議事調査を行い、進捗状況をご報告します。

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