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▼ 質問(和田直也)

→今回も人口減少社会に関連したテーマに加えまして、決算に関する項目、防災に関する項目など、お尋ねしたいと思います。
初めに、人口減少社会と公共インフラの長期ビジョンについて佐藤副市長にお尋ねをします。
人口減少社会と言われて久しい今日、第2次安倍改造内閣では地方創生担当大臣が新設されるなど、国を挙げて地方が直面する課題に対処しようという姿勢に期待をしております。
岐阜市では昨年9月公表の公共施設白書にて、市有財産の更新のピークがおよそ20年から25年後にやってくるということが明らかになりました。しかし、試算されました財産というのは専ら箱物施設であります。箱物は今後の人口減少に伴う予算規模の縮小を見込み、統廃合や再配置、ひいては集約化に向けた対応が可能であり、ぜひ促進してほしい旨はさきの議会でも取り上げました。
これに対してインフラは、例えば、利用頻度の低い道路をやめますというわけにはなかなかいかない。沿線の個人資産の価値の低下を招くおそれのあるテーマでもありまして、統廃合や再配置とか集約化というのは困難な類いであります。公共施設マネジメントに先進的に取り組む神奈川県の秦野市であるとか、さいたま市、千葉市においても、いまだ根本的解決に結びつく名案は出されておりません。こうした中、国においては本年7月に国土のグランドデザイン2050を公表しまして、本格的な人口減少社会の到来や巨大災害の切迫に対応する事前の策が講じられることとなりました。
また、今回の議会でも何度か話題に上がっております公共施設等総合管理計画や、特に橋梁やトンネルにおいては長寿命化計画で延命を図るなどの政策も示されまして、実際に岐阜市内や近郊でも忠節橋や長良大橋などにおいて対応が見られます。
いずれにしましても、これまで郊外へ郊外へと拡大を続けてきた都市そのものの人口が今後は減少へと転ずる中、公共インフラの維持更新、実現可能性の低い都市計画道路の特に長期未着手ルートの見直しなど、対応が迫られておりますし、既存のインフラも全て維持できるのか、あるいは今までと同じコストをかけて維持することが可能なのかも含めまして、非常に大きな懸念材料です。
そこで、お尋ねします。
道路、橋梁、トンネル、上下水道など、岐阜市が抱えるインフラの更新のピークというのはいつごろ訪れるでしょうか。それによる対応はどう考えているでしょうか。
先日の小堀議員の質問に対しまして企画部長は、インフラを含む公共施設等総合管理計画については、平成28年度中までに取りまとめる旨の答弁をしておりますが、佐藤副市長には国土交通省で検討されてる対応策や全国の先進事例も踏まえて、岐阜市の長期的な財政状況から可能な現実的対応についてお尋ねをします。

▼ 答弁(副市長)

→まず、我が国は本格的な人口減少社会の到来や、南海トラフ巨大地震等の巨大災害の切迫といった大きな危機に直面しております。そうした中「夢なき者に成功なし」のかけ声のもと、2050年を見据えまして、国づくりの理念や考え方を示す国土のグランドデザイン2050が本年7月に国土交通省で取りまとめられました。その中で国民の安全、安心を確保し、社会経済の活動を維持増進するため、基本的な考え方として、コンパクト・プラス・ネットワークを地域行動のキーワードとして掲げているところでございます。なお、これは本市の総合計画の考え方とも一致しているものでございます。
その新たなグランドデザインの基本戦略の1つには、インフラを賢く長く使うとされております。インフラの整備に加え、技術革新の進展などを踏まえまして、使い方を工夫することで既存ストック、既存の施設を最大限に活用することが重要とされているところでございます。こうした中、本市の道路及び上下水道の既存ストックの現状でございますが、道路では更新に大きな費用が必要となります延長15メートル以上の橋梁187橋、また、道路トンネル5カ所。そして、上下水道管では水道管2,350キロメートル、下水道管2,128キロメートルが整備されているところでございます。その多くは高度成長期以降に集中的に整備され、近い将来、一斉に老朽化が進み多額の更新費用が必要になることから、本市では公共施設の更新時期やその費用の可視化──見えるようにして、それを図りまして、一元的に把握し、将来に備えた総合的な対策を検討するための基礎資料となる岐阜市公共施設白書を昨年9月に作成したところでございます。これによりますと、今後10年間の合計で道路や上下水道等につきましては約4,600億円が必要とされ、建築物を含めますと、合計で約9,900億円に上る更新費用が必要となるという試算結果でございました。
まず1点目の、インフラの更新費用のピーク時期でございますが、これは施設ごとに耐用年数が異なるところでございます。橋梁では、道路橋梁では平成50年代後半に、トンネルは平成80年ごろ、また、上下水道施設につきましては上下水道管だけではございませんで、水源地ですとか下水処理場なども含めまして、上水道施設は平成70年ごろ、下水道施設は平成40年ごろとなっており、老朽化に伴う修繕、更新を計画的に進めているものの、施設によっては早急な対応が求められております。
2点目の、本市におけますインフラ更新ピークへの対応を含めた維持管理、更新につきましてでございます。
道路、上下水道管といった施設ごとで更新のピークが異なりますため、各インフラの持つ特徴を踏まえ、将来を見据えた取り組みが必要となってまいります。具体的には、次の3つの観点を踏まえます。
1点目、施設ごとに点検、診断、措置、記録といったメンテナンスサイクルを構築し、継続的に発展させること。
2点目、中・長期的な維持管理、更新などにかかるトータルコストを縮減し、平準化を図る予防保全型維持管理システムを導入すること。
3点目、人口減少など社会構造の変化を見据え、都市計画とも連携し、コンパクトシティーに見合った維持すべきインフラ機能の適正化を図ること。
このような観点を踏まえまして、また、本年5月に国が策定しましたインフラ長寿命化計画などを参考に、必要に応じてインフラの長寿命化に関する行動計画及び個別の施設計画を策定し取り組んでまいります。
いずれにいたしましても、厳しい財政状況、人口減少の到来といった中・長期的な社会経済状況の変化を踏まえまして、効率的、効果的な維持管理、更新に取り組むことで、市民の皆様方の安全、安心な暮らしの実現を目指してまいります。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→岐阜市が管理する橋梁2579橋、トンネルは5箇所のうち、橋梁は平成26年度から5年に1回の割合で実施、トンネルは平成25年度に点検を行い、次回は平成30年度に実施する予定です。橋梁については、橋長15メートル以上を対象に平成19年度に橋梁長寿命化修繕計画を策定、その後の点検結果により順次計画の見直しを行い、現在は平成24年度に策定された計画に基づき修繕工事を実施しています。トンネルについては、平成28年度に台帳システム構築を予算化し、点検等の結果を適正に記録できるシステム化を図る予定です。(基盤整備部回答)

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