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▼ 質問(和田直也)

→市長におかれましては改選を経て新たな4期目のスタートとなり、岐阜市政の次なるステージを見据え策定されたマニフェストの遂行に移られることと思います。そこで、きょうはその中から政策の柱の1つ目に位置づけられております医療、福祉、その第1項目めにある地域の医療拠点としての市民病院の健全経営について幾つかお尋ねをします。
我が国のこれからの社会環境の変化の中で大変重要な要素として触れておかなければならないのは、世界の歴史上類を見ない急激な少子・高齢化、特に1億2,000万人の総人口に占める65歳以上の高齢者の人口は1,757万人と、1970年代には7%だった割合が既に15%近くに上っていることです。
世界と比較をすると、フランスが115年、スウェーデンが85年かかったこの割合に、我が日本はわずか四半世紀で迎えております。
今後は人口減少社会へと転ずる中、こうした社会環境の急激な変化に対応し得る体制構築が国、地方問わず求められる中で、総務省が主導して既に2004年より国立病院の独立行政法人化が進められ、同時に、国立大学附属病院も法人化に移行しております。
一方、圧倒的に多い自治体病院の法人化については、公立病院改革プラン策定状況や、先日、野田聖子衆議院議員の御協力で入手しました公立病院経営改善事例集によれば、2009年現在でその実施済みは6法人11病院、方針決定済みは16法人34病院、検討中は239病院と、全国で急速に進んでおります。注目していますのは、そのほとんどが非公務員型で進められているという点です。
県内でも既に2010年に岐阜県総合医療センター、県立多治見病院、県立下呂温泉病院がいずれも非公務員型でスタートを切っております。今後、公立病院をめぐる環境変化にいち早く対応をしていく策が求められているように思います。
さて、市長におかれては、日ごろより市政のかじ取りを進める中では民間企業の豊富な経験をもとに事前の一策をその信条とされ、経営感覚を市政に取り込むことを重ねて強調しております。国の動向を踏まえると、次なるステージに向けた事前の一策を講ずる時間も限られていると思います。
今回のマニフェストにうたわれております「病院経営のあり方について、専門家の意見を聴くことを大切にします。」という項目をどのようなスケジュールで、また、どういう方向に導こうと考えておられるのか、お尋ねをします。
あわせて市民病院長にお尋ねをします。
昨年、市民病院は連続黒字などが評価されて全国自治体立優良病院表彰を初めて受賞、また、先日も患者さんへの食事提供の栄養管理におきまして機能評価新基準に合格するなど、このところ全国的に高い評価を得ておられます。
今日の病院経営に係る取り組みについて敬意を表しながら、このたびの西病棟の完成に伴う一連の施設整備にめどがついたことを受け、次なる急性期病院としてのステージに向けて今日の状況をどのように捉えておられるか。そして、目まぐるしい社会環境の変化の中など、大局的見地から今後の岐阜市民病院の課題をどう整理しておられるか、お尋ねをします。
と同時に、今回の市長マニフェストで掲げられておりますドクターカーの導入については、現在の市民病院の医師数の体制から考慮しても大きな組織改編も求められるように思いますが、どんな課題整理をしておられるか、あわせてお尋ねをします。

▼ 答弁(市長)

→市民病院では128億円をかけまして、西病棟並びに外来棟の改築整備事業を昨年の12月に完了いたしました。また、がん細胞に放射線を集中的に照射でき、患者さんの負担がより少ない治療法であります強度変調放射線治療・IMRTといっておりますが、この装置をことしの4月から稼働するなど、市民の皆さんによりよい医療を提供できる体制を整えてまいりました。
また、職員定数につきましては、平成23年度から平成25年度までの3年間を見てみますと、市民病院以外の職員、市の職員でありますが、184名、この3年間で削減いたしました。率にして5.8%の削減を行ったわけでありますが、一方で、市民病院に勤務する職員を見てみますと、113名の増員としております。これは約16.8%ということですから、約17%の増員をしているわけであります。
このように医療従事者の確保、育成に努めまして、一方で、また、黒字経営を続けております。その実績が認められ、先ほども御紹介がありましたように、昨年の6月に平成25年度自治体立優良病院表彰をいただくことができました。しかしながら、議員も御指摘のように、世の中は大変劇的に変化をしておりますし、医療を取り巻く環境も大変変化をしておりますから、そういう中で、この環境に対応するために多くの自治体病院では経営形態の見直しをしているのも事実であります。
昨年9月に総務省が公表いたしました調査結果によりますと、全国で公立病院の改革プランというものを策定した病院が897病院あります。このうちの24%に当たります212病院が先ほど申し上げました平成21年度から平成24年度までに経営形態の見直しを実施しております。その結果、平成24年度末時点では地方公営企業法の規定を全て適用する、いわゆる全部適用をしている病院が全体の約40%に当たります352病院、財務に関する規定だけを一部適用している病院、これが411病院、約46%となっています。私たちの岐阜市民病院もこの一部適用としているところであります。そのほかに地方独立行政法人が7%に当たる63病院、また、指定管理者制度を導入している市が8%に当たる71病院と、こういうふうになっております。
また、全国の中核市のうちで自治体病院を持っております市は29市ありますが、その経営形態の内訳を見てみますと、地方公営企業法の全部適用が全体の約42%に当たります12市、岐阜市のような一部適用をしているのが31%に当たります9市、また、地方独立行政法人が10%に当たる3市、指定管理者制度の導入が17%に当たる5市というふうになっています。
医療・健康立市を掲げます本市にとりまして、この岐阜市民病院というのは地域医療支援病院であり、また、がん診療連携拠点病院、また、災害拠点病院などなど、さまざまな指定を受けており、地域の市民の皆さんにとっては大変重要な役割を果たしておりますし、また、いつも申し上げておりますが、今後とも市民の皆様方の命と健康を守る最後のとりでとしての役割をしっかりと果たしていかなければならないと考えております。
市民病院は、現在、地方公営企業法を一部適用をしておりますが、経営形態の種類にかかわらず、不採算医療や政策医療なども提供し、公共性を追求して、その責任を果たすことが私たち自治体病院の役割であるというふうにも考えております。
これまでに岐阜市民病院のあり方検討会議を設置いたしまして、企画部長、財政部長、行政部長、健康部長、市民病院事務局長などによる部長会議や関係課長会議において、経営形態ごとの特徴を整理してきております。今後も医療環境を取り巻く状況について国や県の動向を注視するほか、中核市などにつきまして地方公営企業法の全部適用、あるいは独立行政法人、あるいは指定管理者制度に移行した病院の今までの実績でありますとか、あるいは、それぞれの病院ごとに移行した場合のその事情等を把握し、市民病院の経営状況を検証しながら、最適な経営形態について慎重かつ継続的に検討していくことが必要と考えております。

▼ 答弁(市民病院長)

→市民病院を取り巻く状況でございますが、今回の診療報酬改定におきまして、医療機関に求められるものとしてサービスの重点化というものがございます。これは例えば、救急・小児・産科医療などの急性期初期の段階では医療資源が多く必要となることから、これに対しては応分の評価を行うといったものでございます。
急性期病院である当院におきましても現在は健全経営を維持しておりますが、今後もそれを持続しながら医療資源の確保を図っていくことが継続的な課題になってくると考えております。このほか医療機関に求められるものとして効率化がございますが、効率化の面で一番に求められてきていることは、平均在院日数の短縮化でございます。当院における平均在院日数は、私が病院長に就任いたしました平成17年当時には16.1日でございました。それが平成24年度には13.3日になっておりますが、今後はさらなる短縮化が求められております。
団塊の世代が75歳を超える2025年ごろには、入院を要する高齢者がふえることで必要な治療を受けられない人がふえてしまうおそれが指摘されております。そのため国は従来の病院完結型となっていた医療から、住みなれた地域や自宅で治療して生活できる地域完結型となるような政策を打ち出してきております。この結果、効率的な医療を提供するため、急性期、亜急性期・回復期、在宅を含む療養期など、それぞれの治療のステージに応じた専門的な医療の提供と、それを担う医療機関の役割分担を推進する方向に向かっております。このうち急性期病院につきましては、高度急性期、一般急性期、亜急性期と3つに区分されることとされておりますが、当院につきましては岐阜市民にとっての医療の最後のとりでとして、また、災害拠点病院としての役割を果たすためにも、最も高度な医療を提供する高度急性期病院を目指すべきではないかと考えております。当院が高度急性期病院としての役割を果たしながら安定した経営を保っていくためには、この4月からの新しい診療報酬改定に対応するためにも、医師を初めとする医療従事者の増員は必要不可欠であると考えております。現在まで本市の職員定数は削減される中で、市民病院のみ増員をお願いしていることは大変心苦しく思っておりますが、ぜひ御理解いただきたいと思います。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→団塊の世代が75歳以上となる2025年における高度急性期、急性期、回復期、在宅を含む療養期など機能別の医療需要・必要病床数と目指すべき医療提供体制等を内容とする「地域医療構想」の策定が岐阜県庁 健康福祉部でも進められている中で、総務省より「新病院改革プラン」の平成28年度末までの策定を求められており、地域医療構想を踏まえた岐阜市民病院の役割を明確化した上で経営改革を推進すべく、プランに記載する内容を検討しています。(市民病院回答)

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