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▼ 質問(和田直也)

→最後に、持続可能な都市に向けた事前の一策について市長にお尋ねします。
「事前の一策は事後の百策に勝る」と、市長がこの議場でもよく使われる言葉です。これはよい言葉だと思いますし、まさにこれから質問するテーマはこの考え方で対応しなくてはならないと思っております。それは商店街が維持管理する街路灯やアーケードです。私たちがふだん何げなく恩恵を受けていますこの商店街発展会所有の街路灯、アーケードは、今、各地で危機を迎えております。
先ほどの質問でも触れました柳ケ瀬日ノ出町商店街のアーケードについては、幾度と国から不採択とされながらも、地元合意による改築の道を選びました。岐阜市も少なからず今回補正予算を計上していますように、今後30年、40年とアーケードがある日ノ出町として継続的な支援が必要となります。その一方で、老朽化する街路灯やアーケードを所有する商店街の大半は、商店そのものの減少に伴い発展会の会員が次々に減少し、しまいには真面目で責任感の強い発展会役員がいわば貧乏くじを引くという仕組みになってしまっているのが実情です。かさむ維持管理費を残った少ない会員で何とか維持していると、しかし、いよいよ維持できる見込みがなくなってしまったのに、いざ撤去しようにも資金難で撤去もできないと、もうお手上げで放置せざるを得ないと、そんな切実な御相談をいただくたびに、背景に見え隠れする人口減少社会を実感しております。
5月の新聞報道にありましたが、日本の総人口は昨年からことしにかけて約28万人が減少したとあります。お隣の各務原の人口が14万8,000人でありますので、ちょうど各務原市2つ分くらいの都市が消えてなくなったと、そういうスピードで既に日本の人口は減少をしております。しかも、そのスピードはますます速く、その角度も急降下となると、そんな統計データがあちこちに転がっております。人口が減る、そのことについては日本の国土の面積から考えたときに決して悪いことではないと、そんな声も聞かれますが、この問題の難しさは都市を預かる自治体にあると思います。
最近、僕たちの世代は、急激な都市化でつくられたあらゆる都市インフラのどこを残して、どこをどう後片づけしていくかということについて、きちんとした理念を確立して対応していかなくてはならない責任世代ではないかということを同世代のまちづくりの仲間と共有しております。商店街がつくったものなのだから撤去するのも商店街が責任を持って対応するべきだ、原理原則はそのとおりです。しかし、恩恵を受けてきたのは何も訪れた買い物客だけではありません。雨風しのぐために柳ケ瀬のアーケードのある道を通って恩恵を受けた方もいらっしゃったことでしょう。冬場の夕暮れに何げなく通った通学路、実はこれは本荘中学校近辺の本荘銀座発展会が維持してきた街路灯、そんな例もありますし、また、昭和町商店街の街路灯もあります。この恩恵を受けてきた児童生徒もたくさんいたことでしょう。公益性の高い商店街所有の街路灯やアーケードについて、きちっとした物差しを持ってこれまでの事業を評価していかなくてはならないと思います。
折しも岐阜市は中心市街地で増加する空き家、しかも、所有者不在の物件に対して、その情報を収集し、場合によっては緊急措置を行うことのできる空き家条例の制定に向けた検討を進めていると先日も答弁されました。まだ検討段階ですので、具体的には決まっていないとは思いますが、この空き家に関連する施設として、公道上にある老朽化した構造物、すなわち商店街が所有する街路灯とかアーケードについてはどうしていくのかと、管理不届きな構造物が倒壊したときに誰が責任を負うのかと、防災・減災という意味でもきちんとした情報バンクをまずは整えていくことも大切ではないかというふうに思います。
「事前の一策は事後の百策に勝る」と、この言葉は端的にこうした問題にも対応する基本的な考え方になると思うだけに、今までの考え方ではあり得ないような、そういった仕組みを構築していくことも今後は考えていかなくてはならないと思います。それは人口減少社会に対応するためのコンパクトシティー、集約型都市を実現するための政策にも直結していきます。
跡取りがいないから商売をやめるとぽつんぽつんと商店が減り、商店街発展会から会員が減る。少なくなった商店主たちでこうした構造物を維持管理すると負担がふえる。しまいには真面目で責任感の強い役員だけが残り、いわば貧乏くじを引くことになると。右肩上がりの時代に築き上げた商店街発展会ですから、そういう時代だったというふうにくくればそれまでですが、僕たちの世代はそうはいきません。最悪の場合、手に負えなくなって本当に放置されてしまったら、「この電気がつかない街路灯ねえ、あんたのお父さんが残してった負の遺産だよ。」なんてことが起こりはしないかと、それこそ将来にツケを回したことになってしまいます。
市長は「事前の一策は事後の百策に勝る」と、将来にツケを回さない政策をといつも訴えておりますが、具体的に人口減少に対応し得る都市政策が迫られる中で、このテーマについてはどうお考えか、お尋ねします。

▼ 答弁(市長)

→議員が例として挙げられた街路灯、アーケードというのは、いわゆる商店街の共同施設というものでありますが、これは安心、安全かつ快適に市民の皆さんにお買い物をしていただく環境の提供と、それによって商店街機能を図ろうとされる商店街関係者の皆様の御意向を本市で酌みまして、本市では産業商業振興の観点から、これらの施設の設置や修繕の際に補助を行う制度を設けたり、あるいは電灯料の補助を行うなどの支援をしてきているわけであります。先ほど御指摘があったように、法的団体であります商店街振興組合、あるいは任意団体であります発展会など、これ大変苦戦をしております。大規模小売商店が郊外立地をしたために客離れが進んでいるとか、商店主の高齢化、あるいは後継者不足などによって廃業するなど構成員が減少して団体が解散するなど、大変な時代になっているわけであります。そのため商店街がこれまで所有、管理していた街路灯やアーケードの維持管理、あるいは老朽施設の撤去が困難になっていることもあるというふうに聞き及んでいます。
平成21年度から平成24年度までの4年間におきまして、この当市の補助の要件を満たさなくなった団体は22団体あります。平成21年度には103団体あったわけでありますから、約その2割に当たる22団体がこの補助の要件に合わなくなったわけであります。これらの団体が設置した街路灯、アーケードは、多くの場合その解散後は自治会などに移管されているものというふうに推測されますが、現状では実態は十分把握できておりません。倒壊や落下などにより市民の安全、安心が脅かされるという危険性もありますが、商店街振興という特定の目的で設置をした街路灯やアーケードは、原則として設置者あるいは所有者の責任において維持管理、撤去などが行われるべきものでありまして、一般的な社会資本である道路や橋と同列に語ることは困難であります。まずは対象となる街路灯やアーケードの設置状況、その管理状況など、現状を把握した上で、商店街共同施設の持つ公共性の範囲において、行政として何ができるか、今後検討するよう指示をしてまいりたいというふうに思っております。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→平成21年度から25年度までの街路灯補助の対象団体として要件を満たさない団体に聞き取り調査を実施しました。商店街振興や安心安全面を考えて、自らが責任をもって管理する自覚はあるものの、今後、維持管理するための管理費が徴収できなくなった時に撤去する費用が捻出できなくなるといった不安視する声も聞かれました。今後、団体は自らの責任において撤去する際の資金を確保することや解散した後の自治会の移管も含めて、維持管理について議論するといった動きがみられます。街路灯などの共同施設を使用しなくなった際には、原則撤去等現状復帰しなくてはならないので、その際の資金の確保などあらかじめ準備しておくように団体に助言することや、市民の安心・安全面に影響を及ぼす際には、その危険性を解消するため、道路管理者である関係部局との連携を図っていきます。(商工観光部回答)

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