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▼ 質問(和田直也)

→耐震改修促進法の改正と防災拠点について武政副市長にお尋ねをします。
昭和56年以前に建築された病院、店舗、旅館等、不特定多数が利用する建築物及び学校、老人ホームなどの避難弱者が利用する建築物のうち、5,000平米以上の大規模なものについて、平成17年に中央防災会議が策定した地震防災戦略に基づきまして、平成27年末までに耐震診断を行い地方自治体がその結果を公表する、いわゆる改正耐震改修促進法は、不特定多数の利用者などが耐震性を認識しないまま利用して、生命、身体への危険が生じるなど、社会的な影響が特に大きいと考えられるものに限った措置として、さきの国会にて成立した法律です。
そこで、まず、お尋ねします。
この法律が対象としている昭和56年以前に建築された5,000平米以上の物件は、岐阜市内には幾つあるでしょうか。
次に、今後の対応についてです。
予定されています平成27年末まで残り約2年と迫る中で、所によっては多額となる耐震診断やそれに伴って発生する改修費用が捻出できずに廃業に追い込まれるところが出てくるかもしれないと全国的に懸念される中、かかる費用の補助率が今後の関心事かと思います。と同時に、法の本来の目的にのっとるならば、不特定多数が集まる多くの方が利用される施設の改修を通じて安心、安全を高めるということであれば、その施設を避難所として、防災拠点として指定することは、むしろ自治体としても体育館など自前の避難所であるとか、防災拠点施設の充実策にとどまることなく、官民連携での防災・減災の一助になるのではないかと考えています。とりわけ旅館やホテルについては、もともと個室に区分けされているわけですので、長期にわたることも想定しなくてはならない避難生活を考えれば有効な一策ではないでしょうか。
実際、東日本大震災においても避難所として全国で延べ500万泊を超える受け入れ実績があったと伺っております。国土交通省では、このような実績を踏まえ、今後は地域や規模にかかわらず、旅館やホテルを避難所として積極的に位置づけるべく、今後は政令協議などを通じて、各都道府県、ひいては基礎自治体である市区町村にも働きかけるというふうに伺っています。
そこで、武政副市長にお尋ねをします。
岐阜市内には長良川温泉周辺を中心に多くの旅館やホテルが立地しております。折しもそのちょうど中心に位置する場所に岐阜市は防災ステーションを検討していますが、今回の法改正を契機に岐阜を訪れる方のみならず、岐阜に住まう地域住民の皆様に直接貢献できる仕組みとして、あるいは企業の社会貢献を支援する意味で、今後の法施行までの各種調整の中で岐阜市の旅館やホテルなどの宿泊施設を防災拠点に指定し、都市防災部も加わる形で、そのような民間施設を活用した安心、安全、防災・減災に向けた予算措置などの検討に着手してはと考えますが、武政副市長のお考えをお尋ねします。

▼ 答弁(副市長)

→「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律」がこの5月29日に公布されたところでございます。この改正によりまして、いわゆる旧耐震基準によって建築されました建物のうち、政令で定められる病院、百貨店、旅館などの不特定多数の者が利用する大規模建築物など及び県の建築物耐震改修促進計画により指定される庁舎、避難所など公益上必要な建築物等を対象として、耐震診断の実施が義務づけられたものでございます。さらに、診断結果の所管行政庁への報告及び所管行政庁による結果の公表が規定をされたとこでございます。また、この改正に伴いまして耐震診断の実施などが義務化された建築物に対しては、耐震診断及び耐震補強工事について、国の支援措置の拡充方針が示されているとこでございます。
1点目の、市内にございます旧耐震基準の建築物の数についてお答えいたします。
政令で定めます不特定多数の者が利用する大規模建築物については、具体的な政令が未制定でございますので、どのような規模あるいは用途の建築物が指定されるかはまだ明確ではございませんが、御質問にございました、現在、本市内に存在します延べ床面積5,000平方メートル以上の旧耐震基準によります物件は、旅館、ホテルなどの民間建築物と、それから、実はこの市庁舎のような公共建築物を含めまして、24あるようでございます。
次に、2点目の御質問のうち、旅館、ホテルの避難所指定について、まず、お答えをいたします。
本市では現在、多くの避難者が収容できます小学校、体育館、公民館などの公共施設を中心として避難所の指定を行っているとこでございます。また、あわせて民間施設につきましても避難スペースの確保を前提に施設管理者と調整を行いまして、覚書を締結できました。例えば、私立学校、JA、あるいは寺院、教会などを避難所として指定しているとこでございます。現在、本市が既に指定している避難所が新たな想定に基づきます地震、水害、土砂災害などの各種災害に対して必要な機能を有しているか、あるいは追加的な避難所の指定が必要であるか等を判断するための調査を現在進めているとこでございます。
また、国においては、避難所として指定する施設の基準を今後、政令で定めることとなるというふうに伺っているとこでございます。
市の検討結果、あるいは国の基準がどのようなものとなるかにもよりますが、御指摘のありました旅館、ホテルの避難所指定につきましては、例えば、障がいがある市民等であります災害時要援護者のための2次避難所としての活用が可能か等について、今後検討を行うことも考えられると思っております。
最後に、避難所指定に伴います市の防災予算についてのお答えをいたします。
本市におけます民間建築物の耐震補強工事に関します補助事業は、県と本市の共同計画に基づきまして、国、県、市の補助と所有者の負担によって実施しているとこでございます。現行の制度では多数の者が利用します3階建て以上、かつ延べ床面積1,000平方メートル以上の建築物が補助の対象となっております。また、避難所として岐阜市の地域防災計画に位置づけられました建築物については、国の、より補助率の高い補助事業を活用することが可能となっております。さらに、今回の法改正によりまして、県の耐震改修促進計画に公益上必要な建築物等を位置づけることが可能とされておりまして、当該建築物の耐震改修に対する国の支援措置の拡充による補助率の割り増しが検討されるというふうに聞いております。今後は補助制度の拡充等が行われることになりますので、それらの動向を注視してまいりたいというふうに考えておるとこでございます。
いずれにいたしましても、本市の安全、安心なまちづくりを推進するに当たり、避難所としての旅館、ホテルの活用の可能性の検討を行うとともに、さまざまな機会を捉えまして民間建築物の耐震化の促進に努めてまいりたいと考えております。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→法が対象としている昭和56年以前に建築された5千平米以上の大規模な旅館・ホテルについては、旅館・ホテルと協議を重ね、今年度、耐震診断費用の補助を、県・市とともに補助率を拡充し、実施しています。災害時に何らかの配慮が必要な方、いわゆる要援護者の避難所を確保するため、バリアフリー化されている老人ホームなどの福祉施設の一部を避難所として開放してもらえるよう、これら施設の管理者と「災害時における避難者の受け入れに関する協定」や覚書の締結を進めています。平成26年度には、現在協議中の1施設とあわせ6施設と締結する見込みであり、今年度中には合計46施設となります。なお、旅館、ホテルなどの避難所については、耐震補強の状況および国・県の動向を注視しています。避難所の国の支援措置の拡充による補助率の割増の運用については、岐阜県耐震改修促進計画の改正による位置付けが必要であることから、その改正を注視しています。(まちづくり推進部、都市防災部回答)

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