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▼ 質問(和田直也)

→「岐阜美少女図鑑」という地域情報誌があります。これは、ここに登場する20代の女性のお話であります。彼女は明るい元気な至って健全な16歳の高校時代、授業中に突然倒れました。以来、原因不明な疲労感に悩まされ、体じゅうの痛みに苦しんでおられます。体を脱ぎ捨てたいと彼女は時折そう口にします。近所の病院、まちじゅうの病院、まちを越えて遠くの病院、いろいろ回りましたが、原因がわかりません。ついに、約15件のドクターショッピング、病院を回ったところで、あなたは慢性疲労症候群ですというふうに診断されたそうであります。娘の病名がわかったときの安堵感というか、喜びというか、不思議な気持ちが忘れられないと、彼女のお母さんは言います。
そんな彼女は、以来、根本治療にはつながらないものの、1日40本の麻酔注射を打つため、毎日1時間をかけて岐阜市内のクリニックへ通院し、その麻酔が効いているわずか3時間ほどの1日の中の貴重な時間を、岐阜市の特別住民票が交付されております柳ケ瀬「やなな」の広報担当として、そして、最初にも触れました「岐阜美少女図鑑」のモデルとして、リクライニングつきのシートに座りながら、ただ黙々と、そして、懸命に柳ケ瀬の活性化のためにささげてくれております。
彼女が持つこの慢性疲労症候群は、調べてみますと、まだまだ認知度の低い、しかし、確かな難病問題として扱われております。残念ながら根本治療の研究は国家予算もきちんとついておりません。その上、この「慢性疲労」という病名がきっかけで、「ああ、私もそうかもしれない。」という、いわば井戸端会議の話題にもなりかねない誤解が患者の会の皆さんを苦しめております。微熱、首のリンパがはれて咽頭炎などのさまざまな症状があり、明らかに病気と思われるのに、「慢性疲労」がついているために誤解が後を絶ちません。彼女いわく、「単なる怠け者だと家族にも理解をされないでいる同じ患者のために私は頑張りたいです。」と懸命であります。
先日、野田聖子衆議院議員の御協力もいただきまして、厚生労働省の担当者とも今の実情についていろいろとお話しする機会をいただきました。この病気についてきちんと治療研究が進めていけるような国会での働きかけ、地方議会からの意見書の上程、さらには、病名そのものを変えてほしい、具体的には、「筋痛性脳脊髄炎」という病名に変えてほしいなど、いろいろな動きがあるといいます。
そもそもこの病名がついたのは、アメリカの医学分野でクロニック・ファティーグ・シンドローム──慢性疲労症候群、こういうふうに直訳したことが原因だそうですが、そのアメリカでも病名変更を求める動きが進んでおります。現にイギリス、カナダ、オーストラリア、ノルウェーでは「筋痛性脳脊髄炎」というふうに呼ばれております。
いずれにしましても、全国に推定30万人いるかと思われる患者に対して早く医療や福祉の手が届くように、政治を預かる議員としても現場に向き合っていかなければと思っております。
現在、参議院の厚生労働委員会で審議をされている障害者総合支援法案において、制度の谷間に陥っている疾患についての議論が進んでおりますが、そういう意味で、引き続きこの慢性疲労症候群についても問題提起を進めていきたいというふうに思います。
ちなみに先ほど推定30万人というふうに申し上げましたが、人口で割ると425人に1人と、岐阜市の人口で割り算をしても986人いる計算になります。厚生労働省は今年度の予算で全国の実態に乗り出し、来春には調査報告書が出るそうですが、市民病院長におかれましては、現在のこの病気の実態や課題、あるいは今後の課題解決に向けた方策など、病理的立場からのお考えをお尋ねをします。

▼ 答弁(市民病院長)

→慢性疲労症候群は、慢性の激しい疲労感を主な症状とし、微熱や筋肉痛、頭痛などの身体症状のほか、抑うつ気分などの精神症状も伴うものでございます。発症する頻度は慢性の疲労を訴える患者さんの数%を占めると推定されております。その診断基準について厚生労働省を含め幾つか提示されているものの、明確な原因はいまだ明らかになっていないのが現状であり、治療法も確立されておりません。
議員御指摘のとおり、この病気はさらなる実態解明や診断基準及び治療対策の確立が望まれるところであり、私たち医療現場を預かる者といたしましても、その解明や対策の確立に役立つような活動をしたいと考えております。具体的には、特定非営利活動法人岐阜県難病団体連絡協議会や岐阜大学の専門家とも相談しつつございますが、院内におきましても来る6月22日にこの慢性疲労症候群と闘っている方をお迎えし、お話を伺う研修を開催する予定でございます。
いずれにいたしましても、難治性の疾患でございますので、今後さらに研究を進めていくべき分野であると認識しております。

▼ 質問&答弁、その後の進捗状況ご報告。

■ 進捗度評価 ・・・ △ 現在進行中 
→平成24年6月に岐阜市民病院に慢性疲労症候群と闘っておられる方をお迎えし、お話を伺う研修会を開催しました。岐阜大学大学院医学系研究科・総合病態内科科学分野の石塚教授が岐阜大学を退官され、平成26年4月から岐阜市民病院特別診療顧問として赴任し、慢性疲労症候群の診察を開始しています。(市民病院回答)

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